映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ブラッド・ダイヤモンド

2007年04月08日 | 映画(は行)

1999年、アフリカ、シエラレオネ。
そう聞いてもどこにあるのか解らないという程度の知識が少し恥ずかしくなりました。
アフリカ西部の国です。

当時、政府軍と反政府軍であるRUFとの内紛で、国内は、混乱状況。
つつましく漁師をしていたソロモンはある日突然RUFの襲撃を受け、家族と離れ離れとなり、ダイヤモンドの採掘場へ連行され、働かされます。
そこで採れたダイヤモンドは、ディカプリオ扮するアーチャーのような密売人により、武器と交換されるのです。
せっかくのダイヤも国を豊かにすることにはならず、武器となってますます国を荒廃させることにしかならないというこの悪循環。
兵士ではないごく普通の人々は、いつどこで銃撃戦に巻き込まれたり、連れ去られたりするかわからず、おびえつつ過ごし、また、家や家族を失い、難民となってしまうのです。

この映画では、ソロモンが100カラットもあるピンクダイヤを発見し、ひそかに、隠します。
このダイヤにソロモンは家族の運命を、密売人であるアーチャーは自由を、ジャーナリストのマディーは真実を賭けることになり、物語は進行していきます。
アーチャーがソロモンに寄り添い、彼の息子を探す協力をするようになるのは、無論、もともとはそのピンクダイヤを手に入れるため。
しかし次第に彼の目的はソロモンを助けること自体に変化していくのです。
それは、何の打算もなく、ただ愚直にひたすらに、家族を守り息子をとり戻そうとする、ソロモンの姿に圧倒されたからに他なりません。
ソロモンはアーチャーに問います。
「ダイヤが手に入ってお金が入ったら、結婚して、子供を作るのか?」
「いや、そんなことは考えていない」
「それじゃ、なんの意味もないじゃないか」。
確かにその通りだと、納得するアーチャー。
いつしか忘れていた、本当の生きる意味を教えられるような気がするのです。

この映画のもう一つの問題提起は、少年兵の存在。
ソロモンの息子、ディアは、RUFに連れ去られ、少年兵に仕立てられます。
無理やり銃を持たせ、洗脳し、使い捨てのコマとする。
今現在もなお、世界中で20万人もの少年兵がいるといいます。

そして、もう一つ圧倒されたのは、これらの内紛で大量の難民が発生。
この映画中の「WFP国連世界食糧計画」による難民キャンプには、100万人の難民が収容されていました。
ちょっと、想像が付きません。
100万人といえば日本でも大都市ひとつ分。
これだけの食料や水の供給だけでも気が遠くなるように思いますが、現実に、このWFPが機能していたということで、
片や、兵器をばら撒き、ダイヤを搾取。
片や人助け。
欧米、いえ日本もですかね、やることが矛盾に満ちています・・・。

このように、社会問題をテーマとしながらも決してお説教にならず、登場人物に寄り添ってストーリーを見守ることが出来るというのは、やはりなかなかの傑作というべきでしょう。
レオ様は、ディパーテッドとこの作品で、すっかり単なるイケメン俳優から肉体派になりましたね・・・。
ジャイモン・フンスーは実際アフリカ生まれだそうです。
「グラディエーター」とか、「イン・アメリカ/3つの小さな願いごと」に出演。
ああ、そういえば・・・、なかなかいい役をやっていたのでは?
ジェニファー・コネリーも意志の強い凛としたジャーナリスト役、なかなかすてきでした。

ブラッド・ダイヤモンド [DVD]
レオナルド・ディカプリオ,ジャイモン・フンスー,ジェニファー・コネリー,カギソ・クイパーズ,アーノルド・ボスルー
ワーナー・ホーム・ビデオ

2006年/アメリカ/143分
監督:エドワード・ズウィック
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジャイモン・フンスー、ジェニファー・コネリー