映画と本の『たんぽぽ館』

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「言葉の常備薬」 呉智英

2007年07月17日 | 本(解説)

日本語の不思議、薀蓄あれこれ。
なるほどね~。思わずうなずきます。

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「言葉の常備薬」 呉智英 双葉文庫

この著者は、評論家。
特に国語の専門家というわけではありませんが、
幅広い知識で、堅苦しくなく楽しい国語の話を繰り広げます。

はじめのほうに出てくる、『連濁』のはなし。
二語がくっついて、一語になる時、後の語の語頭が濁音化すること。
たとえば、「ほん」と、「はこ」がくっついて「ほんばこ」。
「はと」と「とけい」で、「はとどけい」。・・・というようなことですね。
ところがこの規則性が崩れる場合があるという。
後の語が外来語である場合や、後の語の中に濁音がある場合などは、この『連濁』にはならない、というのです。
たとえば、
「室内・テニス」は「室内デニス」とはならないし、「大和・ことば」は「大和ごとば」とはならない。
う~む。いわれてみれば確かにそう。
考えたこともなかったけれど、無意識のうちにそうしている、というのがすごいと思うのです。

私、中学校に入って、国語の文法を習ったときにすごく驚いたことがありまして。
それは動詞の活用形。
5段活用やら、サ行変格活用・・・とか何とかいうやつですよ。
そんなこと、それまで、考えたことも、聞いたこともなかったけど、確かに、確かに、どの動詞も一定の規則に基づいて活用している。
それを知らなくてもぜんぜん問題なく話ができている、つまり、無意識に活用させているというのも、すごい。
そしてまた、そもそも、こんな言語体系をいつ、誰が考え出して、作り上げたものやら・・・。
私は一種感動すら覚えたのですが、他の人は特に何も感じていないようでした。
これって、感動するようなことではないですか?
あわせて、英語でも動詞では過去・過去完了。形容詞にも比較級、最上級。等等、いろいろな活用があることを学ぶにつけ、言葉の深遠を見る気がするのでございます・・・。
でもやはり、外国の方が日本語を勉強するのはほんとに大変そうな気がしますね。
ひらがな、カタカナ、漢字。五段もの活用に、丁寧語、尊敬語。
男女でも言葉が違う。
キャー、考えただけでいやだね。

ともあれ、この本は今まで考えたこともなかった、いろいろな言葉のひみつがかかれていて、大変興味深く読めました。
ただちょっと気になるのは、もろに、名指しで人の文章の誤りを指摘。
これってどうなんでしょうねえ・・・。

満足度★★★