「その日暮らし」 森まゆみ 集英社文庫
エッセイ集です。
著者は、まあ、文筆業。
この本は、明日のことを心配するのではなく、
その日に必要なものだけで、今日という日を丁寧に暮らしたい、というコンセプト。
まさに、「暮らし」の本なのです。
3人のお子さんたちのこと、家のこと、アジア旅行のこと、エコロジーのこと・・・。
たとえば、著者がベトナムやインドへ行って感じるのは、人々誰もが、フレンドリー。
隔ての無い、人間関係を築いているということ。
大切なのは、施設などの形式的なバリアフリーでなく、
このような心のバリアフリーなのではないか、といっています。
たしかに、そういう部分はありますね。
日本のエレベーターでは人は、一時死んだように突っ立っている・・・と。
このように、感じ入る部分はあるのですが、この著者、お年は私とほぼ同じくらい。
仕事を持ち、3人の子供がいて、毎日忙しく、生活に追われている。
まさに、生活感たっぷりなのです。
・・・そこのところが、あまりにも自分と近いので、なんだか逆にあまりのめりこむ意欲がわきませんでした。
この本の解説者は、なんと我が敬愛するアーサー・ビナード氏。
しかし、さすがに彼はそんなところもうまい表現をします。
『・・・くだらないことも身の毛のよだつほどいやなことも、
ひとまず、肯定して包み込むのだ。
暮らしのもろもろでいっぱいになり、
飽和状態で七転び八起きを繰り返して頑張る。
そうしているのは、「生活者・森まゆみ」』
うーん、モノもいいよう。
というか、この技術はぜひ身に付けたいとも思う。
でも、実際正直なところは、私の好きな方向とは違うということで、
満足度★★★