映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

きみと、波にのれたら

2020年06月17日 | 映画(か行)

ファンタジック&ダイナミック

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サーフィンが大好きで、小さな港町に越してきたひな子。
引っ越し早々火事が起きてしまったのですが、
それをきっかけに消防士の港(みなと)と知り合い、恋に落ちます。
二人は仲睦まじく、ハッピーさ満開。
ところが、港は海で溺れた人を助け、命を落としてしまうのです。
ひな子はショックで大好きだった海を見ることもできなくなってしまいます。
そんなある日、ひな子が二人の思い出の歌を口ずさむと、
水の中に港が現れたのです・・・!

湯浅政明監督のアニメ。
ひな子は、花屋でバイトをしていたのですが、
自分の本当にしたいことが何なのか、わかっていません。
港は、ひな子が海の上ばかりでなく、
社会の波を一人でうまく乗りこなすようになるまで見守る、と言ってくれたのです。

もちろんラブストーリーではありますが、女性の自立の物語でもある。
水の中の港に、また頼り切りになってしまうひな子ですが、
いつかはそこから卒業しなくてはならないわけで・・・、
そこが重要なところです。

水の中に現れる港は、言ってみれば幽霊みたいなものなのですが、
水の精とでも言いましょうか、水を操る力も持っているのです。
消防士だった彼の役割というのが、ここでも大きくものを言う。
ファンタジックで、ダイナミック。
なかなか楽しめました。

港が作るオムライスとか、卵サンドが実においしそう。
コーヒーも豆を挽くところからはじめるなど、なんとも手際が鮮やか。
こんなことを苦もなくやってみせる彼ですが、
後に妹が語るには、子どもの頃から母親が忙しく不在がちだったので、
港が一生懸命努力して得意になったのだ、と。
なんともカッコイイヤツだなあ、港。
始めの方に、ひな子が油がうまく回らないフライパンでオムレツを作ろうとして、
悲惨なものを作ってしまう、アルアルのシーンがあって、
だからこそ後の港の手際がより引き立つわけです。
そんなところも結構楽しめました。
声の出演陣が無駄に豪華!


「愛にできることはまだあるかい・・・♪」
とつい口ずさみたくなってしまったけれど、
あ、ちがった、この映画じゃなかった!!

<WOWOW視聴にて>
「きみと、波にのれたら」
2019年/日本/96分
監督:湯浅政明
脚本:吉田玲子
出演(声):片寄涼太、川栄李奈、松本穂香、伊藤健太郎

好男子度★★★★★
満足度★★★★☆