映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

メインストリーム

2022年08月17日 | 映画(ま行)

媚薬のようなSNSいいね

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ロサンゼルスに住むフランキー(マヤ・ホーク)はYouTubeを公開しつつ、
さびれたバーで働いています。
ある日、天才的話術を持つ風変わりな男・リンク(アンドリュー・ガーフィールド)と出会います。
フランキーは、作家志望の友人・ジェイク(ナット・ウルフ)も巻き込み、
本格的に動画作成を始めます。

破天荒でシニカルなリンクの活動を追った動画で、再生数はうなぎ登り。
彼らは一躍人気YouTuberに。
しかし絶頂期は長くは続きません。
そんな焦りが、いつしかリンクの人格を蝕んでいきます・・・。

はじめリンクはスマホさえも持たず、SNSなど気にもかけない人物でした。
そんなことから、彼らのチャンネルのテーマは
“SNSなんかに没頭するな”と言うことだったのです。

それをSNSで発信するというのが、そもそも大きな矛盾をはらんでいるわけなのですが。
そんなリンクなのに、次第に人気が出て注目を浴びるようになると、
自身がその蠱惑的な麻薬に溺れていく・・・。
元々センセーショナルな言動をする男だったけれど、
一層過激になり狂気をはらんでいきます。

アンドリュー・ガーフィールドはこうした自己肥大的な人物をやらせると
ピカイチのような気がします。

 

作中最もまともな神経の持ち主・ジェイクは、フランキーのことが好きだったのですが、
フランキーはジェイクと愛し合っていることを知り、
身を引き、YouTubeのチームからも離れていきます。
ホント、実にマトモ。
しかし、まともな人物は実はつまらないと暗に言っているようでもある・・・。

SNSでバズるというのは一体どういうことなんだろう。
時には立ち止まって考えてみてもいいのかも知れません。

 

<WOWOW視聴にて>

「メインストリーム」

2021年/アメリカ/94分

監督:ジア・コッポラ

出演:アンドリュー・ガーフィールド、マヤ・ホーク、ナット・ウルフ、ジョニー・ノックスビル

 

狂気度★★★★☆

満足度★★★☆☆