映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

パリの調香師 しあわせの香りを探して

2022年08月13日 | 映画(は行)

人と人とのハーモニー

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本作、調香師の女性が主人公かと思えば、まあそうではあるのですが、
でも彼女と関わる男性が主人公でもある、という面白い構成になっています。

離婚して娘の親権が奪われそうになっているギョーム(グレゴリー・モンテル)。
それだけでなく運転手の仕事も失いかけて崖っぷちにいます。
そんな彼が、とある女性の運転手を担当することに。
彼女・アンヌ(エマニュエル・ドゥボス)はプライドが高く、わがまま。
妙に匂いに敏感な彼女の正体をギョームははじめ知らなかったのですが、
後に「調香師」という、香りに関係する仕事に就いていることを知ります。

アンヌは天才調香師として、多くの有名ブランドの香水の調香に関わったのですが、
4年前、仕事へのプレッシャーと多忙から嗅覚障害となり、
地位も名誉も失ってしまったのです。
今はなじみのエージェントから紹介される地味な仕事を引き受け、
ひっそりと暮らしています。
元々人と接することが得意ではなく、プライドの高さもあって、
孤独に暮らしているアンヌ。
ギョームはそんな彼女の心を少しずつ開いていくのです。

始めからアンヌの生活のみを描くのではなく、
この一見さえないギョーム目線で見ているところがいいですね。

ギョームも、これまで考えたこともなかった「香り」に興味を持つようになり、
彼の発想がアンヌにヒントを与えたりもします。

調香は様々な香りの組み合わせの妙であるとすれば、
人と人との組み合わせも、当たり前でないところで思わぬ効果が発揮されて、
かぐわしい香りのハーモニーが生まれるのかも知れませんね。

<WOWOW視聴にて>

「パリの調香師 しあわせの香りを探して」

2019年/フランス/101分

監督・脚本:グレゴリー・マーニュ

出演:エマニュエル・ドゥボス、グレゴリー・モンテル、セルジ・ロペス、ギュスタブ・ケルベン

 

人と人の化学反応度★★★★☆

満足度★★★★☆