映画と本の『たんぽぽ館』

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「ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ」ヤマザキマリ

2022年08月21日 | 映画(あ行)

この母がいてこその、ヤマザキマリさん

 

 

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「生きることって結局は楽しいんだよ」
音楽と娘と自分の人生を真摯に愛する規格外な母リョウコの
まるで朝ドラのような人生!
「リョウコ」とは、漫画家・ヤマザキマリの今年で86歳になる「規格外」な母親のこと。
昭和35年、リョウコが27歳の時、勝手に仕事を辞め、
新設された札幌交響楽団で 音楽をやるため、半ば勘当状態で家を飛び出した。
新天地・北海道で理解者となる男性と出会い結婚するものの早逝され、
シングルマザーとしてふたりの幼い娘を抱えることとなる。
戦後、まだまだ女性が仕事を持つのが難しかった時代。
ヴィオラの演奏家という職業を選び、家族を守るために、大好きな音楽を演奏するために、
リョウコが選んだ道は平坦ではなかった。
鼻息粗く自分の選んだ道を邁進し、 ボーダレスな家庭の中で子供を育てあげた
破天荒・母リョウコの人生を、娘マリが語る。
見本となるような「いい母親」ではなかったけれど、
音楽と家族を愛し、自分の人生を全うする、ぶれないリョウコから 娘マリが学んだ、
人生において大切なこととは?
昭和を駆け抜けたリョウコの波瀾万丈な人生!

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過日、ヤマザキマリさんの講演を拝聴する機会があり、
その中でヤマザキマリさんのお母様のことにも若干触れていました。
私はこの本のことを知っていて、そういえばまだ読んでいなかったと思い出して、
この度手に取った次第。

 

ヤマザキマリさんの人生自体波瀾万丈の物語なのですが、
この娘を育てた母が、またすごかった。

 

リョウコさんは東京のいい家の出なのですが、
ある時突然、北海道の札幌交響楽団の設立にあたってヴィオラ奏者となるべく、
単身で新天地・北海道にやって来ます。
そこで指揮者の男性と恋仲になって結婚。
やがてマリさんが誕生しますがまもなく夫は病死。
以後リョウコさんはシングルマザーとしてヴィオラ奏者を続けながら奮闘。
(後にリョウコさんは再婚して、妹さんが誕生しますが、まもなく離婚します。)

今ならともかく、当時、しかも北海道の地では
シングルマザーのまま仕事を続ける女性という存在自体が
希有のものだったのではないでしょうか。

仕事柄リョウコさんは長期に家を空けることがあったり、
学校の参観日や行事にほとんど来たことがないという、
今なら「ネグレクト」として通報されかねない状況。
確かに、淋しいことはあったようなのですが、
それでもこの姉妹は母の生き様をそのまま受け止め、
根底の母の愛を信じてもいて、
近辺の人たちの助力もあってたくましく成長していくのでありました。

中でも、まだ中学生のマリさんを単身でヨーロッパを旅させる
と言うエピソードは、スゴイですよね。

そしてその後、マリさんが未婚で産んだ子を連れて実家に帰ったときには
「孫の代までは私の責任だ」と満面の笑みで言い切ったという・・・。

強くて独特の愛すべき方です。
その圧倒的な存在感にはちょっと憧れますが、とてもマネはできません。

そしてマリさんもこの資質をそっくりそのまま受け継いでいるように思われるのも面白い所。

図書館蔵書にて

「ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ」ヤマザキマリ 文藝春秋

満足度★★★★.5