農家の嫁じゃなくて
* * * * * * * * * * * *
第一次産業に従事する人々を描く「種まく旅人」シリーズ、第4作。
今回の舞台は石川県金沢市。
加賀れんこんを題材にしています。
大阪の信金に勤める山田良一(平岡祐太)。
故郷金沢でれんこん農家を営む実家の母から、父が脳梗塞で倒れたとの知らせが来ます。
帰郷した良一は、実家の畑を引き継ぐか売却するかの選択を迫られます。
もともとれんこん農家がイヤで都会に出た良一。
そしてまた近く結婚予定の恋人もいて、決断のつかない良一・・・。
そんなところにやってくるのが、農林水産省官僚、神野恵子(栗山千明)。
れんこん農家の視察でこの地に赴任しているのですが、思わぬお節介で・・・。
以前にテレビで見たことがあります。
れんこんの収穫風景。
泥沼の中から、れんこんを堀り上げるのは見るからに重労働そうです・・・。
だから良一が農家を引き継ぎたくないと思ったのも無理のないこと。
そして都会育ちの恋人に、今さら農家の嫁になってくれなんて言えない、というのもよくわかる。
この「農家の嫁」という言葉がよろしくない。
いかにも古くからの因習を引きずっています。
農作業を散々手伝ったあげくに、それでも家事・育児と働くことが当然と思われる。
本作は、こういうことも題材としているのです。
神野は思う。
農家の嫁ではなくて、女性の職業選択の一つとして農業を考えられないか、と。
一つの例として、人を雇い入れて一つの組織としての農業を進めているところも出てきます。
こういうところなら女性も入りやすいし、休暇などもとれる。
多人数の労働力を入れるということは、
かなり大規模な農場でなければならないとは思いますが・・・。
でもそうなれば多角経営という手もあるし、
私はやはりこれからの農業はそうしたあり方が良いのでは・・・などと思ったりします。
ともあれ、ハスの美しい花が開いたときの喜び。
収穫したレンコンの真っ白な切り口。
こうしたもので、苦労が報われるといいますか、
農業の喜びを私たちも知ることができますね。
農業のことは全然わかっていない私には、貴重なシリーズです。
今後も続いてほしいです。
<WOWOW視聴にて>
「種まく旅人 華蓮(ハス)のかがやき」
2020年/日本/108分
監督:井上昌典
出演:栗山千明、平岡祐太、大久保麻梨子、木村祐一
農家の喜び度★★★★☆
女性と農業を考える度★★★★☆
満足度★★★.5