でも、友人と言いたい
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わたし、海砂真史(うみすなまふみ)の幼馴染み・鳥飼歩(とりかいあゆむ)は
なぜか中学校に通っておらず、頭は切れるが自由気儘な性格で、素直じゃない。
でも、奇妙な謎に遭遇して困ったわたしがお菓子を持って訪ねていくと、
話を聞くだけで解決してくれた。
彼は変人だけど、頼りになる名探偵なのだ。
歩の元に次々と新たな謎
――洋菓子店の暗号クイズや美術室での奇妙な出来事――
を持ち込む日々のなかで、ふと思う。
依頼人と探偵として繋がっているわたしたちは、友人とは言えない。
だけど、わたしは謎がなくても歩に会いたいし、友人以上に大切に思っているのに……。
札幌を舞台に贈る、青春ミステリ第2弾!
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札幌を舞台とする青春ミステリ2巻目。
中学生・海砂真史の身の回りでおこるちょっとした出来事の謎を、
彼女の幼なじみである鳥飼歩が解き明かしていきます。
この鳥飼少年、中学校には通っておらず、頭は切れるけれども全く素直じゃない。
そして無類の甘いのも好き。
早い話が変人。
真史は、何か謎を解いてもらいたい時に「依頼人」として歩を訪ねて行くのです。
そして探偵はみごとに期待に応えてくれる。
これはあくまでも依頼人と探偵の関係であって、
わたしたちは「友人」とは言えないのかな?・・・と、
真史は少し淋しい気がしてしまうのです。
そして、単に顔を見て話をしたいだけなのに、
あえてささやかな「謎」を持って行ったりして。
ちょっぴり甘酸っぱい香りがしてきましたね。
しかし歩の方はそんなことには無頓着のように見えたのですが・・・。
終盤、アメリカ帰りの歩が、仙台帰りの真史と
ちょうど同じ頃に千歳空港に着くので落ち合うというシーンがあります。
しかし実はここにはトリックがあって・・・。
なかなか「めんどくさい」歩の性格の発露の場ではありますが、
それがまた、なかなか良かったです。
青春ですなあ・・・。
前作同様本作の舞台は札幌で、
しかもかなり私の生活圏に近いところが出てくるので、
親近感沸きまくりなのです。
どうか皆様も、この二人を応援してくださいませ。
・・・と、勝手に身内のような気がしてしまって困る。
あ、ちょうど文庫も出たところです。
<図書館蔵書にて(単行本)>
「探偵は友人ではない」川澄浩平 東京創元社
満足度★★★★☆