東京の歴史をたどって
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『家康、江戸を建てる』『東京、はじまる』など、
江戸・東京に深い造詣をみせる筆者が、
東京の21の地域について過去と現在とを結び、東京の「謎」を解き明かす。
回ごとに東京と町を築き上げてきた巨人たちとの交差が描き出されます。
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本作は、先に同著者の「地中の星」を読んで興味を持ちました。
それは地下鉄を日本で初めて造った人物の物語。
本作は同様に、過去、東京で様々な人が様々なことに取り組んで、
今の東京の姿に繋がっているということを解き明かす本であります。
学者ではなく、小説家・門井慶喜氏の語り口が、先人への愛に満ちていて良いのです。
内容を詳しくは書きませんが、
「東京」に関係することが時代を追って述べられていて、
一番始めは
「なぜ源頼朝は橋のない隅田川を渡ったのか」
今注目を浴びている頼朝がトップで登場。
ほら、もうすでに読んでみたくなるでしょう?
「なぜ浅草は東京の奈良なのか」
「なぜ勝海舟はあっさり江戸城を明け渡したのか」
「なぜヱビスビールは目黒だったのか」
「なぜ東京駅は大正時代まで反対されたのか」
「なぜ新宿に紀伊國屋書店があるのか」
「なぜ羽田には空港があるのか」
「なぜ寅さんは葛飾柴又に帰ってきたのか」
「なぜピカチュウは町田で生まれたのか」
などなど、瞬く間に時代は進みますが、興味の尽きない話ばかり。
今度、ブラタモリでも紹介してほしいような内容です。
時の流れ、人々の流れ・・・
いろいろなことが積み重なり変化して今があるのだなあ・・・。
北海道の歴史はほとんど明治時代以降のことなので、
今もある町で1000年もの昔の痕跡をたどることができたりするのは
うらやましいです・・・。
「東京の謎 この街をつくった先駆者たち」門井慶喜 文春新書
満足度★★★★☆