映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「『死ね、クソババア』と言った息子が55歳になって帰ってきました」 保坂祐希

2023年12月18日 | 本(その他)

理解不能

 

 

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75歳、両親が遺した鎌倉の家に一人暮らしの晴恵。
一人息子の達彦は、大学進学をめぐる意見の食い違いから
「死ね、クソババア!」と捨て台詞を残して家を出て以来、
ほとんど音信不通。
終活を意識し始めた晴恵の元に、55歳になった達彦が突然、
非の打ちどころのない嫁を捨てて帰ってきた!

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本作、題名を見たところで、ありがちな家族の深刻な問題を
ちょっとコミカルに描くものかと思ったのですが、意外と重くシビアでした・・・。

75歳、一人暮らしの晴恵の元に、大学進学時に意見が食い違い
「死ね、クソババア!」と言って出ていったきりだった、
ひとり息子・達彦55歳が突然帰ってくるのです。
離婚することになったからと・・・。
しかしその理由も、今後の見通しも全く語ろうとしない自分勝手な息子。
これでも一応大学の准教授なのですが・・・。

母の元に転がり込んでくる息子というのは、
大抵は職を失って収入もなく仕方なく帰ってくるものですが、
この場合は職を失ってはいない。
ただし大きな問題を抱えてはいるのですが・・・。

 

私、この母晴恵の思考回路や判断はとてもよく分り、共感します。
でもこの息子の行動はどうにも理解できない。
離婚するとはいうものの、妻にその理由を全く話しておらず、
完全に一方通行の思いだけ。
母に対しても同じです。
少なくともこの家に世話になろうというのなら、すべてを話すのが道理でありましょう。
よくこんなので今までやってこれたなあ・・・とあきれるばかり。
つまり学者バカであったようです。

そんなバカ夫に対する妻の行為も、
できすぎというか都合よすぎでリアリティに欠ける。

ということで、私にはあまり響かない物語でした・・・。

 

<図書館蔵書にて>

「死ね、クソババア」と言った息子が55歳になって帰ってきました 保坂祐希 講談社

満足度★★☆☆☆