“ネバーランド”に迷い込んで・・・
* * * * * * * *
ホラー作品なのですが、映像がとても美しい。
それもそのはず、
これはあの「パンズ・ラビリンス」監督のギレルモ・デル・トロ製作作品でした。
主人公ラウラは、子ども時代をすごした海辺の孤児院に
30年ぶりに戻ってきます。
なんとも言えず美しい海辺の風景と、古い大きな屋敷の映像に
まずため息が漏れます。
彼女は、売りに出ていたこの屋敷を、
障害を持つ子供たちのホームにしようとしています。
医師の夫と、7歳の息子シモンがいます。
シモンはよく空想の友達と遊んでいるのですが・・・。
このホームの開園パーティの日、
シモンは忽然と姿を消してしまうのです。
悲嘆にくれるラウラは、
しかし、屋敷にいる何者かの気配を感じ、
息子は彼らに囚われていると確信するのです。
屋敷にいる何者かの正体とは・・・?
そして、彼女は無事息子を取り戻すことができるのでしょうか・・・?
悲劇の原点は、彼女が孤児院を去ったすぐ後、
およそ30年前にあるのです。
霊能者が、30年前の屋敷を探索するシーンは、
緊張感にあふれていて、ほんとにドキドキ・ビクビクさせられました。
誰もいるはずのない海辺の洞窟で、
シモンが誰かと話をしているところとか・・・。
シモンが道しるべとして撒いてきた貝殻が、
戸口に重ねられておいてあったりとか・・・。
じわじわと怖いですね。
しかし、ラウラが30年前の孤児院を再現しようと、
昔のベッドを引っ張り出して並べたり、
古ぼけた孤児院職員の制服を着込んだり
・・・そうした鬼気迫るサマもなかなか怖いものがあるのです。
冒頭に子どもの遊ぶ情景があるんですね。
それは日本で言う「だるまさんがころんだ」の遊びとそっくり。
どこの国にもこうした遊びがあるというのも驚きですが、
考えてみるとこの遊びはちょっと怖い。
「オニ」が後ろを向いている隙に、
ナニモノかが刻一刻と迫ってくるわけですから。
この映画では、後ろを向いて「だるまさんがころんだ」という方は
「オニ」ではなくて、
近づいてくるほうが「魔」なんです。
非情に怖いですよ・・・。
そしてまた、このラストで、驚かされます。
たとえてみれば、
ラウラは子どもが永遠に大人になることのない“ネバーランド”の
ティンカーベルとなるのです。
このことの真の意味とは・・・。
実はシモンはラウラの実子ではなく、養子なのです。
しかも、難病を抱えている。
このことは、血はつながっていなくても、非情に深い愛を感じさせるだけでなく、
実はこのエンディングのための意味があったのですね。
シモンだけでなく、永遠の子どもたちの
永遠のティンカーベルとなるための意味が。
最後の逆転構造が、「シックス・センス」以来、
といわれる所以。
私はそこまでの衝撃とは思えなかったのですが、
衝撃、というよりはむしろやはり虚をつかれた、というような感じ。
これはハッピーエンドなのか、そうではないのか・・・。
いずれにしても胸に残るエンディングです。
2007年/スペイン・メキシコ/108分
監督:J・A・バヨナ
制作:ギレルモ・デル・トロ
出演:ベレン・ルエダ、フェルナンド・カヨ、ロジャー・プリンセブ、マベル・リベラ
『永遠のこどもたち』予告編
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ホラー作品なのですが、映像がとても美しい。
それもそのはず、
これはあの「パンズ・ラビリンス」監督のギレルモ・デル・トロ製作作品でした。
主人公ラウラは、子ども時代をすごした海辺の孤児院に
30年ぶりに戻ってきます。
なんとも言えず美しい海辺の風景と、古い大きな屋敷の映像に
まずため息が漏れます。
彼女は、売りに出ていたこの屋敷を、
障害を持つ子供たちのホームにしようとしています。
医師の夫と、7歳の息子シモンがいます。
シモンはよく空想の友達と遊んでいるのですが・・・。
このホームの開園パーティの日、
シモンは忽然と姿を消してしまうのです。
悲嘆にくれるラウラは、
しかし、屋敷にいる何者かの気配を感じ、
息子は彼らに囚われていると確信するのです。
屋敷にいる何者かの正体とは・・・?
そして、彼女は無事息子を取り戻すことができるのでしょうか・・・?
悲劇の原点は、彼女が孤児院を去ったすぐ後、
およそ30年前にあるのです。
霊能者が、30年前の屋敷を探索するシーンは、
緊張感にあふれていて、ほんとにドキドキ・ビクビクさせられました。
誰もいるはずのない海辺の洞窟で、
シモンが誰かと話をしているところとか・・・。
シモンが道しるべとして撒いてきた貝殻が、
戸口に重ねられておいてあったりとか・・・。
じわじわと怖いですね。
しかし、ラウラが30年前の孤児院を再現しようと、
昔のベッドを引っ張り出して並べたり、
古ぼけた孤児院職員の制服を着込んだり
・・・そうした鬼気迫るサマもなかなか怖いものがあるのです。
冒頭に子どもの遊ぶ情景があるんですね。
それは日本で言う「だるまさんがころんだ」の遊びとそっくり。
どこの国にもこうした遊びがあるというのも驚きですが、
考えてみるとこの遊びはちょっと怖い。
「オニ」が後ろを向いている隙に、
ナニモノかが刻一刻と迫ってくるわけですから。
この映画では、後ろを向いて「だるまさんがころんだ」という方は
「オニ」ではなくて、
近づいてくるほうが「魔」なんです。
非情に怖いですよ・・・。
そしてまた、このラストで、驚かされます。
たとえてみれば、
ラウラは子どもが永遠に大人になることのない“ネバーランド”の
ティンカーベルとなるのです。
このことの真の意味とは・・・。
実はシモンはラウラの実子ではなく、養子なのです。
しかも、難病を抱えている。
このことは、血はつながっていなくても、非情に深い愛を感じさせるだけでなく、
実はこのエンディングのための意味があったのですね。
シモンだけでなく、永遠の子どもたちの
永遠のティンカーベルとなるための意味が。
最後の逆転構造が、「シックス・センス」以来、
といわれる所以。
私はそこまでの衝撃とは思えなかったのですが、
衝撃、というよりはむしろやはり虚をつかれた、というような感じ。
これはハッピーエンドなのか、そうではないのか・・・。
いずれにしても胸に残るエンディングです。
2007年/スペイン・メキシコ/108分
監督:J・A・バヨナ
制作:ギレルモ・デル・トロ
出演:ベレン・ルエダ、フェルナンド・カヨ、ロジャー・プリンセブ、マベル・リベラ
『永遠のこどもたち』予告編
今のところ今年一番泣いた映画と思ってます。
悲しい話です。泣ける映画は大好きですが、心温まる涙の映画がいいな。これは悲しい。
何だか、ハッピーエンドではないよ。
だけど、泣いたから自分ポイント高い映画ですけどね。
お気に入りなんですね。
怖くて、そして哀しいですね。
そういえば一番怖いのは、老女ベニグナではないでしょうか。・・・これも「母の愛」ではありますよね・・・。