「レオくん」 萩尾望都 小学館フラワーコミックス
今年2009年は萩尾望都デビュー40周年だそうで。
ほとんどそのデビュー当時からの彼女のファンの私も、
まあ、年をとるはずですね。
それで、書店でこの本を見かけて、即購入したわけですが、
この本はこれまでの彼女に多い作品傾向とは、やや異なっています。
ネコが主人公のコミカルなお話。
主人公「レオくん」はネコ。
はい、著者が飼っている、シマシマの焦茶の雄ネコ。
第一話「レオくんの小学1年生」では、
なんとレオくんが特別に認められて小学校に入学します。
レオくんは自分が人間だと思い込んでいるわけではないので、
人間の姿をしていたりはしません。
ちゃんとネコです。
しかし、言葉が話せて人と会話ができる。
このあたりは犬やネコを買っている方なら、
案外すんなり受け入れられるのではないでしょうか。
まあ、実際に言葉を話すわけではありませんが、
意外と意志の疎通が図れるものですよね。
まあ、だからファンタジーではありますが、これがなかなか奥が深い。
・・・と、私は勝手に思うのであります。
レオくんはランドセルを背負って、立って歩いて一年生の教室に行きます。
実は、勉強がしたいのではなくて、給食が食べたいだけなのですが・・・。
一時間目はこくご。
レオくんは本を読みたいのではなくて、ボール遊びがしたい。
先生はやさしく言います。
「レオくん 今はこくごだからボールはあとでね」
「レオくん 教室では授業中はちゃんとイスに座ってね」
たちまちたいくつするレオくんに
「レオくん 教室であくびをしてはいけません」
「教室でおかおを洗ってはいけません」
「教室でおしっぽをバタンバタンしてはいけません」
とても素直なレオくんは、いちいち言われたとおりにしようと必死。
やっと休み時間にボールで遊べても、あっという間におしまい。
次の時間はさんすう。
青いお魚のおはじきを4つ並べましょう。
「レオくんそれは赤いお魚ね。青いお魚を並べてね」
「まちがえちゃいけませんよ」
間違えてはいけないといわれ、すっかり緊張してしまい、
おはじきの箱をひっくり返してしまいます。
おしっこがしたいといえば、休み時間に行くものよとたしなめられ、
庭でおしっこをすればしかられ、
教室でお尻をなめてはまた怒られる。
周りの子供たちも、
「おしりなめちゃいけないんだよー。
お庭でおしっこもいけないんだよー。
レオくんていけないんだー」
とはやし立てる。
何をやっても怒られるので泣き出してしまうレオくん。
それでも給食の時間まで我慢我慢・・・。
結局レオくんの学校生活はたったの一日でおわりました。
最後の"お母さん"のセリフ。
「お勉強、向いていなかったのね。ま いいか。ネコだものね」
この物語で、私はちょっとギクリとしてしまったのです。
レオくんと、いま学校で多くなっているといわれている、
ADHDやアスペルガー症候群、
そういう子供たちの姿が重なってしまったのです。
ネコのレオくんに、学校のきまり、
つまり集団生活に都合のいい習慣を押し付けることが
ナンセンスなのと同じように、
特別支援を必要とする子ども達を一つの型に押し込めようとすることは
ナンセンスなんですね。
ネコにはネコの特性がある。
ヒトにもそれぞれいろいろな特性があるのだから、
それに応じた対応をしなくては、お互いの不幸なのではないかと・・・。
著者がそこまで言いたかったかどうかはわかりませんが、
考えさせられる冒頭の一作でした。
それで、すっかりこのレオくんワールドに引き込まれてしまいました。
この、レオくんが一生懸命になればなるほど失敗ばかりのパターンは
「レオくんのお見合い」や「レオくんのアシスタント」にもありまして、
笑ってしまいます。
特にネコは好きではないという方も、きっと楽しめます。
満足度★★★★★
今年2009年は萩尾望都デビュー40周年だそうで。
ほとんどそのデビュー当時からの彼女のファンの私も、
まあ、年をとるはずですね。
それで、書店でこの本を見かけて、即購入したわけですが、
この本はこれまでの彼女に多い作品傾向とは、やや異なっています。
ネコが主人公のコミカルなお話。
主人公「レオくん」はネコ。
はい、著者が飼っている、シマシマの焦茶の雄ネコ。
第一話「レオくんの小学1年生」では、
なんとレオくんが特別に認められて小学校に入学します。
レオくんは自分が人間だと思い込んでいるわけではないので、
人間の姿をしていたりはしません。
ちゃんとネコです。
しかし、言葉が話せて人と会話ができる。
このあたりは犬やネコを買っている方なら、
案外すんなり受け入れられるのではないでしょうか。
まあ、実際に言葉を話すわけではありませんが、
意外と意志の疎通が図れるものですよね。
まあ、だからファンタジーではありますが、これがなかなか奥が深い。
・・・と、私は勝手に思うのであります。
レオくんはランドセルを背負って、立って歩いて一年生の教室に行きます。
実は、勉強がしたいのではなくて、給食が食べたいだけなのですが・・・。
一時間目はこくご。
レオくんは本を読みたいのではなくて、ボール遊びがしたい。
先生はやさしく言います。
「レオくん 今はこくごだからボールはあとでね」
「レオくん 教室では授業中はちゃんとイスに座ってね」
たちまちたいくつするレオくんに
「レオくん 教室であくびをしてはいけません」
「教室でおかおを洗ってはいけません」
「教室でおしっぽをバタンバタンしてはいけません」
とても素直なレオくんは、いちいち言われたとおりにしようと必死。
やっと休み時間にボールで遊べても、あっという間におしまい。
次の時間はさんすう。
青いお魚のおはじきを4つ並べましょう。
「レオくんそれは赤いお魚ね。青いお魚を並べてね」
「まちがえちゃいけませんよ」
間違えてはいけないといわれ、すっかり緊張してしまい、
おはじきの箱をひっくり返してしまいます。
おしっこがしたいといえば、休み時間に行くものよとたしなめられ、
庭でおしっこをすればしかられ、
教室でお尻をなめてはまた怒られる。
周りの子供たちも、
「おしりなめちゃいけないんだよー。
お庭でおしっこもいけないんだよー。
レオくんていけないんだー」
とはやし立てる。
何をやっても怒られるので泣き出してしまうレオくん。
それでも給食の時間まで我慢我慢・・・。
結局レオくんの学校生活はたったの一日でおわりました。
最後の"お母さん"のセリフ。
「お勉強、向いていなかったのね。ま いいか。ネコだものね」
この物語で、私はちょっとギクリとしてしまったのです。
レオくんと、いま学校で多くなっているといわれている、
ADHDやアスペルガー症候群、
そういう子供たちの姿が重なってしまったのです。
ネコのレオくんに、学校のきまり、
つまり集団生活に都合のいい習慣を押し付けることが
ナンセンスなのと同じように、
特別支援を必要とする子ども達を一つの型に押し込めようとすることは
ナンセンスなんですね。
ネコにはネコの特性がある。
ヒトにもそれぞれいろいろな特性があるのだから、
それに応じた対応をしなくては、お互いの不幸なのではないかと・・・。
著者がそこまで言いたかったかどうかはわかりませんが、
考えさせられる冒頭の一作でした。
それで、すっかりこのレオくんワールドに引き込まれてしまいました。
この、レオくんが一生懸命になればなるほど失敗ばかりのパターンは
「レオくんのお見合い」や「レオくんのアシスタント」にもありまして、
笑ってしまいます。
特にネコは好きではないという方も、きっと楽しめます。
満足度★★★★★
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