勇敢なアフガン民族に捧ぐ・・・!!
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前回、ベトナムの激戦の後、ランボーはタイのバンコクで
小さな仏教寺院の修復を手伝いながら静かに暮らしていました。
そこへ訪ねてきたのが、元上官、ランボーがただ一人信頼を置くトラウトマン大佐。
彼は極秘任務のためアフガニスタンに潜入するのだけれど、同行してくれないかというのです。
しかしランボーは「自分の戦争は終わった」と、断ります。
しかしその後、アフガニスタンへ潜入したトラウトマンはソ連軍の奇襲に遭い、拉致されてしまいます。
そのことを聞いたランボーは、大佐を救出するため、アフガンへ向かう・・・。
私、ランボーのシリーズは、「超人的な戦闘能力を持つ男の胸のすくアクション」というくくりはさほど重要視しておらず、
誰のために闘うのか、そのランボーの内面にこだわりたいと思ったのです。
ランボーは何も殺人が好きなわけではない。
でも自分が生きるためにやむなく闘い、相手を殺してしまう・・・。
元々気持ちの優しい彼であるから、このタイでの暮らしこそが落ち着きどころ・・・、
それでいいじゃない、と思いました。
しかし、そんな穏やかな生活をしているところにわざわざトラウトマンが訪ねてきて、言うのです。
「君の居場所はこんなところではない。君がすべき事は他にあるはずだ。」
ふん、余計なお世話ですよね。
もう巻き込むのは止めてほしい!!
そもそも、アメリカに帰還したランボーがどんな扱いを受けたか。
だからこそ、彼は国にも帰らず、タイで過ごしていたというのに。
多分、ランボーもそう思ったに違いない。
だから、彼はアフガン行きを断ったのです。
それなのに・・・。
お人好しの彼はやはりトラウトマンの危機を放っておけない。
また危険へと踏み込まざるを得ないのです。
前二作、トラウトマンは指令本部にいるだけだったのが、今回は現場へ赴く、
と、そこのところだけは評価しましょう。
それにしても、もうランボーには関わらないでほしい。
今回も彼はトラウトマンのために出動したわけで・・・。
国のためとか米軍のためとかは、ランボーは考えていないのです。
そこのところが大事。
さて、それにしてもですよ、本作公開時点での状況は、アフガニスタンにソ連が侵攻。
アフガンはそれに対抗すべくゲリラ活動が行われていて、
米国がそれを支援しているわけです。
だからランボーやトラウトマンはアフガンの民と共にソ連軍と戦う。
本作ラストには「勇敢なアフガン民族に捧ぐ」というメッセージが出されるくらいです。
・・・なんという皮肉!!
とても拍手喝采する気にはなれません。
つまり、政治情勢によって敵も味方も変化していく訳なのです。
だから、ランボーが国を信じていないという姿勢こそがここでは光る気がするのです。
しかしそれにしても、アクション作品とは言えあまりにも多くの人が死にすぎ・・・。
それを言っちゃあ、こんな作品は成り立たないのか・・・
Amazonプライムビデオにて
「ランボー3 怒りのアフガン」
1988年/アメリカ/101分
監督:ピーター・マクドナルド
出演:シルベスター・スタローン、リチャード・クレンナ、マルク・ド・ジョンジュ、サッソン・ギャベ
歴史の皮肉度★★★★★
満足度★★★☆☆
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