流通業界をゆるがす
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テレビドラマ「アンナチュラル」、「MIU404」の監督・脚本家が再タッグ。
両シリーズと同じ世界線で起きた連続爆破事件を描きます。
・・・ということで、どちらのドラマも大好きだった私は、
ワクワクして本作を待ち望んでいました。
世界規模の流通業界最大のイベント、ブラックフライデー前夜。
ショッピングサイトの関東センターから配送されたダンボール箱が爆発する事件が発生。
それは一度ではなく、2度3度とつづき始めます。
関東センター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、
チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、事態の収拾に当たります。
ショッピングサイトの巨大なセンターの様子。
実は某テレビ番組でその様子を見たことがあるのでさほど驚きませんでしたが、
いつも気軽に「ポチッ」と注文しているものが
こういう所から来ていると思うとなんだか感慨深いですね。
そしてまた、それぞれの持ち場で毎日奮闘している方がいる、そのありがたさも感じます。
特に最後の持ち場である配送の人々の苦労が忍ばれ、
そうしたところにスポットを当てたのも良かった。
配送会社のさらに下請けという立場の人は、
荷物一つの配達について150円の報酬を得るという・・・、
荷受人の不在で空振りに終われば、全くのただ働きということになります。
そうした現実の上に成り立つ私たちの便利な生活。
そういうことも知っていなければなりませんね。
まあつまり、本作の事の起こりはそういう所にあったということなのです・・・。
本作のテーマはそういうことなのですが、
実のところ、意識は次々に登場する豪華キャストたちに持って行かれてしまいます。
満島ひかりさんに岡田将生さん。
新任センター長と彼女に振り回されるチームマネージャーということで、
この2人の掛け合いが実に楽しい。
もちろん、「アンナチュラル」の懐かしき出演者たち、
そして、私が最近TVerで見直していた「MIU404」の出演者たちもナイス!!
まあしかし、期待があまりにも大きすぎたので、
実際はほんの少しだった登場シーンにちょっぴりガッカリ。
いっそ、「MIU」の新作として本作を出してくれた方が良かったなどと思ったりして。
それほどに、星野源×綾野剛が、今見てもスバラシイのですもの・・・。
あ、2人が乗っていたのが「メロンパン号」でなかったのも残念・・・。
つまり、テレビドラマが好きだった人ほど、
本作については不完全燃焼感を持ってしまうのではないかな・・・?
まあでも、面白かったですけど・・・。
それはともかく、「アンナチュラル」、「MIU404」と同じく、
主題歌が米津玄師さんというのはスバラシイ。
私、冒頭とラストに出てきた数式のようなものの意味がちょっと分らなかったのですが、
あれはセンターのベルトコンベアの速度と耐久重量のことだそうで。
「絶対に荷物は止めない」と豪語したエレナの言葉なども考え合わせると、意味深いですね。
その心意気があっぱれというのでなく、
人間性を無視した利益重視の社会のあり方について・・・。
<TOHOシネマズ札幌にて>
「ラストマイル」
2024年/日本/128分
監督:塚原あゆ子
脚本:野木亜紀子
出演:満島ひかり、岡田将生、ディーン・フジオカ、酒向芳、火野正平、
石原さとみ、井浦新、窪田正孝、綾野剛、星野源
テレビドラマとのコラボ度★★☆☆☆
社会問題度★★★★☆
満足度★★★.5
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