映画と本の『たんぽぽ館』

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マネーボール

2011年11月15日 | 映画(ま行)
ぶれないこと、やり抜くことの勝利



                    * * * * * * * *

メジャーリーグ「オークランド・アスレチックス」のGM(ゼネラルマネージャー)である
ビリー・ビーンのストーリーです。
彼は弱小球団であったアスレチックスをマネーボール理論により改革、
常勝球団に育て上げました。
その理論というのは・・・。
イエール大学出の秀才、しかし野球の体験はないというピーターの考え。
彼はこれまでの選手や試合のあらゆるデータを分析し、
貧乏球団でも「勝つ」ためのチーム編成を割り出します。
ビーンは新たな基準で、他チームで落ちぶれていたり無名だったりする選手を集めました。
初めのうちはその考え自体、チーム内でも理解されず、
惨憺たる有様だったのですが・・・。



やると決めたら徹底してやる! 
決してぶれない。
周囲の反対を押し切ってもやり抜く。
結局そういう強い精神力の勝利なのではないかと思います。
彼自身、以前は期待されて野球チームに入団した一人。
けれども思うような結果は残せなかったのです。
今度こそは後悔したくない。
中途半端はなし。
・・・そういう風に自分を追い込んでいる。
ブラピがこういうのを演じると、すごくストーリーが生きます。


貧乏球団の悲哀・・・は、日ハムファンとしては非常によくわかります。
チームの中心として活躍していた選手が、あっけなく出て行ってしまう。
某G軍とか、それこそメジャーリーグとか・・・。
それにしても、パソコンではじき出したデータで、
ほとんど“もの”と同じ扱いで、他チームに出されたり、お払い箱にされたり。
・・・そういう非情さには、ちと胸が痛みました。
しかし、それがプロの世界ですもんね。
出された人がそこでめげるか、悔しさをバネにまた奮起するか、
そこからのドラマは自分で作るしかありません。
しかし、逆に見ればこれは落ちこぼれ選手に脚光を当てるという救済策でもあるわけで、
そんなところで、選手の力を引き出す効果もあったのでしょう。



ビーンの仕事が、ゼネラルマネージャー。
なるほど、あの“もしドラ”を思い出しました。
女子高生が野球部のマネージャーになり、勘違いして「マネジメント」の本を買ってしまった。
けれどその理論は立派に野球部のマネジメントとして活用できたという。
つまり、マネージャーというのは何も部員の世話やユニホームの洗濯をするのではなくて、
本来このビーンのように全体的なミッションを進行させる役割なのですね。
そうでなくてはマネージャーと呼んではいけない。
これもひとつの「マネジメント」実践のストーリーではあります。

ビーンの娘役の少女の歌がすごくステキでした。




「マネーボール」
2011年/アメリカ/133分
監督:ベネット・ミラー
原作:マイケル・ルイス
出演:ブラッド・ピット、ジャナ・ヒル、ロビン・ライト、フィリップ・シーモア・ホフマン、クリス・プラット


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2 コメント

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歌声 (パール)
2011-11-16 22:00:41
ブラッド・ピットは、魅力的な俳優さんなのだけど、本人はもっとやりたいことがあるのではないかなといつも思っていました(根拠はありませんが)。
この役は、ちょっと違いました。
でも、彼はベースボールに興味がないとは思います。

ビーンの娘役の少女の歌、素敵でした。
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ブラピ (たんぽぽ)
2011-11-17 20:01:08
>パールさま
私も、このたびのブラピは「普通の人」なのがいいと思いました。最近割とちょっとイカれているというかクレイジーな役柄が多かったのではないでしょうか?
そうではなくて、普通にあまり要領のよくない人が、めいっぱいやる!というところがいいなあ・・・と。役者の本領はこういうところで出ますよね。
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