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ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男

2022年08月31日 | 映画(た行)

勇気の物語

* * * * * * * * * * * *

実話を元にしています。

1998年。
オハイオ州名門法律事務所で働く企業弁護士、ロブ・ビロット(マーク・ラファロ)。
ある日、場違いに現れた農夫に話を聞かされます。
ウェストバージニア州の農場で、大手化学メーカー、デュポン社の工場からの廃棄物によって
土地が汚染され、190頭もの牛が病死したというのです。



本来企業側につく仕事をしているにもかかわらず、
ビロットはこの調査を受けてしまいました。
デュポン社への情報開示請求をしてみれば、
嫌がらせのように届けられた大量の書類の山・・・。



しかしビロットは根気強く書類を調べ始めます。
やがて分かったことは、デュポン社が発ガン性のある有毒物質の危険性を40年間も隠蔽し、
その物質を大気中や土壌に垂れ流し続けたということ。
ビロットは7万人の住民を原告団とする一大訴訟に踏み切りますが・・・。
巨大企業相手の法廷闘争は、ロブを窮地に陥れます。

「ミナマタ」を思い出しました。
企業が大きければ大きいほど、こうしたときに企業は政府までもを味方につけて
自身を守ろうとします。
また、それが地元にとっての一大産業であったりすれば、地元住民をも分断する。
「正しいこと」を貫こうとすれば、身に危険も及びかねない。
どこでも、同じようなことになってしまうのですね・・・。
でも、損なわれた健康や命は取り返しがつかないのです。

結局この工場から廃棄される化学物質が人体にどのように影響をおよぼすか、
そのことが「実証」されなければならないわけですが、これがなかなか難しい。
状況からして明らかだろうとは思うのですが、
裁判ではそうした論理は通用しないというわけで・・・、
実のところは今も闘争中ということで、
この映画化にも何らかの圧力がかかる危険性もあったのだとか・・・。

ビロットは、大企業と闘うことのストレスとプレッシャーで
心身共にギリギリの状態に陥っていきます。
「真実」を求めるのにこんなにも勇気や覚悟、強さが必要だなんて。
恐ろしい物語です・・・。

 

 

「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」

2019年/アメリカ/126分

監督:ドット・ヘインズ

出演:マーク・ラファロ、アン・ハサウェイ、ティム・ロビンス、ビル・キャンプ、ビクター・ガーバー

 

大企業の闇度★★★★★

勇気度★★★★☆

満足度★★★.5

 



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