前作のその後と、新たな調査
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友人の兄ジェイミーが失踪し、高校生のピップは調査を依頼される。
警察は事件性がないとして取り合ってくれず、
ピップは仕方なく関係者にインタビューをはじめる。
SNSのメッセージや写真などを追っていくことで明らかになっていく、
失踪当日のジェイミーの行動。
ピップの類い稀な推理で、単純に思えた事件の恐るべき真相が明らかに……。
『自由研究には向かない殺人』待望の続編。
この衝撃の結末を、どうか見逃さないでください!
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ホリー・ジャクソン『自由研究には向かない殺人』の続編です。
続編も続編、あの事件の直後からの続きのストーリーです。
高校生ピップは先の事件の真相を解き明かしたのはいいけれど、
自身も危険にあったばかりでなく多くの人を傷つけてしまったことで、
探偵のまねごとなどはもう二度としない、と心に誓っていました。
しかし、友人コナーのたっての頼みで、
行方不明となった彼の兄・ジェイミーの行方を探ることに・・・。
そんな合間に、先の事件に関連することも語られます。
通常推理小説は探偵役が謎を解き明かし、犯人を指摘すればそれで終わり。
前作もそのようにして幕を閉じました。
けれど現実は、その後に犯人が被疑者として逮捕され、裁判がある。
前作で、女子をクスリで朦朧とさせた上でレイプするという
悪事を繰り返していたことが発覚したマックス・ヘイスティング。
その彼の裁判のことが語られます。
ピップは彼がそのことを自白したのを録音したものを持っているのですが、
それは証拠として使うことはできないとされ、
裁判では検察側が不利になってしまうのです。
ピップの調査でせっかく明らかになったことが、覆されてしまう・・・。
そんなやるせない出来事も語られて行きます。
さて、ジェイミーの行方捜しですが、
ピップは情報収集のために調査状況をすべてSNSでその都度発信して行きます。
確かにこれは有効な手段ではありますが、逆にとても危険なことでもあるのです。
ジェイミーの失踪が仮に、何者かの意図による誘拐や監禁だとすれば、
こちらの手の内がすべて犯人にダダ漏れになってしまうということでもあるのですから。
そしてまたご多分に漏れずSNS上では、
「ジェイミーの失踪」などすべて目立ちたがりのピップのでっち上げだ・・・
などと言う悪意たっぷりのコメントで炎上したりもする・・・。
メンタルボロボロのピップは、それでもジェイミーの行方を突き止めることができるのか・・・?
まことに現代の高校生事情が浮かび上がる作品。
全く、優等生は探偵などのまねごとはやめたほうがよさそうです・・・。
「優等生は探偵に向かない」ホリー・ジャクソン 創元推理文庫
満足度★★★★☆
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