死者の最期の思いとは
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人が死ぬ際に残す珠「ぎょらん」。
それを嚙み潰せば、死者の最期の願いがわかるのだという。
地方都市の葬儀会社へ勤める元引きこもり青年・朱鷺は、
ある理由から都市伝説 めいたこの珠の真相を調べ続けていた。
「ぎょらん」をきっかけに交わり始める様々な生。
死者への後悔を抱えた彼らに珠は何を告げるのか。
傷ついた魂の再生を圧倒的筆力で描く7編の連作集。
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人が死ぬ間際に、その思いを込めた小さな赤い珠「ぎょらん」を残すという・・・。
連作短編となっている、冒頭「ぎょらん」は、
不倫相手の突然死で心が揺れる華と
大学中退以降10年近く引きこもりを続けている兄・朱鷺のストーリー。
朱鷺は漫画オタクで、以前読んだ「ぎょらん」という漫画に強い思い入れを抱いています。
どうやらその漫画にならって、自死した親友の残した「ぎょらん」を口にし、
噛みつぶしてしまった結果、
友のどす黒い恨み辛みが朱鷺に流れ込んできて、
廃人のようになってしまったということのようなのです。
そんなことから、華は恋人のぎょらんがあるものならば見つけてみたいと、
兄妹で珠を探しに行きます。
死者が残す珠の話なので、必然的に以下の短編も死者が登場。
その家族たちもぎょらんにまつわるうわさを聞き、
死者との関係を思い返すことになります。
でも誰もがそれを見つけて口にするわけではない。
朱鷺のように、死者の思いがわかってしまったためにその後長く苦しむことになるというものもいれば、
それを手にしただけで死者との温かな思い出が広がったというものもいます。
結局ぎょらんとは何なのか・・・。
そんなことを考えていく物語。
引きこもりの朱鷺さんは、その後葬儀会社に就職し、
始めはいかにも使い物にならなさそうなダメ新人だったのが
少しずつ力をつけていって、次第に頼もしくさえなっていく。
それぞれのストーリーの順を追って、
朱鷺のそんな成長する姿を見ることができるのが嬉しいところです。
ではありますが、最後にはまた、
彼はぎょらんとの問題に正面から向かい合っていく・・・。
なかなか巧みな物語なのでした。
最終の「赤はこれからも」は、文庫書き下ろしとのことで、お得です!
「ぎょらん」町田そのこ 新潮文庫
満足度★★★★☆
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