映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

不思議の国のシドニ

2024年12月16日 | 映画(は行)

日本は不思議の国?

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「雨月物語」などで知られる溝口健二監督へのオマージュを込めた作品。

 

フランスの作家シドニ(イザベル・ユペール)のデビュー小説「影」が
日本で再販されることになり、出版社に招かれて訪日します。

大阪の空港で、寡黙な編集者、溝口健三(伊原剛志)に出迎えられ、
数日間通訳と案内をしてもらうことに。

シドニは家族を亡くし天涯孤独。
喪失の闇から救出してくれた夫のおかげで「影」を執筆できた、と語ります。
しかしその夫もまた、事故で亡くなったところだったのです。
そんなわけで、この訪日もあまり気が進むものではなかったのですが・・・。

溝口に案内されながら京都、奈良、直島・・・と各地を巡るうちに、
シドニの前に亡き夫、アントワーヌ(アウグスト・ディール)の幽霊が現れるようになります。

 

 

夫を亡くして、失意の底から立ち直れずにいたシドニ。

日本に来てから、夫の幽霊が現れ、話すらもできるようになります。
地元フランスではそんなことはなかったのに・・・。
溝口は言う。
日本では、幽霊の姿を見ることができる人が多い、と。

う~む、そのあたりからちょっと首をひねりたくなってきましたが・・・。

なんというか本作は、欧米の人が日本のエキゾチックな情緒とか神秘性とかに
魅力を感じる方が見るべき作品なのでしょうね。
当の日本人からすると、なんだかなあ・・・という感じ。
あの極端な欧米から見た日本のイメージ、フジヤマとかゲーシャとか、
そういう描き方はされていないものの、やはり日本人が見るとピンとこない。
ホテルの人たちの応対とか、描かれる現代の日本文化は
概ね不自然なところはなかったのですが・・・。

そもそも桜の季節の京都なんて、観光客でごった返していて、
のんびり歩いてなどいられないのでは・・・?

女性が持つハンドバッグまで、預かって持とうとする溝口も相当変なヤツ・・・。
日本人がみんなそうだと思われちゃうじゃないの。

<シアターキノにて>

「不思議の国のシドニ」

2023年/フランス・ドイツ・スイス・日本/96分

監督:エリーズ・ジラール

出演:イザベル・ユペール、アウグスト・ディール、伊原剛志

 

現代の日本描写度★★★★☆

満足度★★★☆☆



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