妄想の翼を広げる4人
* * * * * * * * * *
抱腹必至。
読まずに語り、読んで語る読書会
翻訳家、作家、作家であり装丁家の四人が
名著『罪と罰』の内容を僅かな手がかりから推理、
その後みっちり読んで朗らかに語り合う。
* * * * * * * * * *
なんとも、変わった趣旨のこの本。
誰もが名作というドストエフスキーの「罪と罰」ですが、
ここに集まる著名な作家たちは皆、この本を読んだことがないと言います。
それで少し勇気づけられてしまいますが(?)、
私も、読んだことはありません・・・。
そこで、彼女らは、読んでいないけれどもなんとなく「罪と罰」について知っている知識を総動員して、
その内容を推察してみようという、大胆不敵な企画を立てたのであります。
何しろこのメンバーが、
岸本佐知子さん、三浦しをんさん、吉田篤弘さん、吉田浩美さんという
私が常より敬愛する人たち。
これで面白くないワケがないではありませんか!!
曰く、「読まないで、読む」。
「読む」という言葉は「先を読む」というように「推測する」という意味も持っています。
だから、本を読まないで、みんなで推測しようというワケ。
座談会方式で、話は進みます。
始めは皆「ラスコーなんとかという主人公が、おばあさんを殺しちゃう話」
くらいの知識しかありませんでした。
でもそれではあまりにも想像を広げにくいので、
6部に渡る本作のそれぞれ数ページのみを読むことを許容することにします。
ほんの言葉の端々から、いよいよ彼らの想像が膨らみ始める・・・。
始めのうちそれは、殺人を犯したラスコ
(本当はラスコーリニコフなのですが、皆さん省略してこう呼びます)が、
執拗な刑事から逃れ続ける「逃亡者」のようなストーリーという説が有力。
しかし、登場人物が増えていくと、ますます想像は羽を広げて・・・。
想像というよりも妄想に近くなっていきます。
特に、三浦しをんさんはサスガにすごい!!
なるほど、作家というのはこういうものか・・・と感心してしまいます。
苦労するのは、ロシア人の名前。
やたらと長ったらしくて、覚えられないし、
時には愛称で呼ばれたりもするので誰が誰やら。
それで、彼らは適当にわかり易い名前をつけてしまうのです。
先程の「ラスコ」を筆頭に、
友人の「ウラズミーヒン」が「馬」だったり、
ヒロイン・ソーニャの父マルメラードフが「マメ父」だったり・・・。
それだけでもう、笑えます。
そして嬉しいことに、この本ではこのハチャメチャな座談会の後に、
ちゃんとホンモノのあらすじ紹介があるのです。
そして、やはり答え合わせをしよう、ということで、
4人がみな実際に本を読んで、その後にまた座談会が持たれている。
まことに充実した「罪と罰」の手引となっています。
読後、みなさんがおっしゃるには
「思ったほど重厚ではなくて意外とエンタテイメント」
とのこと。
さすが世界の名作「罪と罰」。
面白くて読む価値は十分にありということのようです。
でもやっぱり私は、あらすじも知ってしまったことですし、
やっぱり読まないかなあ・・・。
それよりは、私はこの4人のダベリを
お酒でも飲みながらいつまでも聞いていたい・・・
「『罪と罰』を読まない」岸本佐知子 三浦しをん 吉田篤弘 吉田浩美 文藝春秋
満足度★★★★☆
図書館蔵書にて
『罪と罰』を読まない | |
岸本 佐知子,三浦 しをん,吉田 篤弘,吉田 浩美 | |
文藝春秋 |
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抱腹必至。
読まずに語り、読んで語る読書会
翻訳家、作家、作家であり装丁家の四人が
名著『罪と罰』の内容を僅かな手がかりから推理、
その後みっちり読んで朗らかに語り合う。
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なんとも、変わった趣旨のこの本。
誰もが名作というドストエフスキーの「罪と罰」ですが、
ここに集まる著名な作家たちは皆、この本を読んだことがないと言います。
それで少し勇気づけられてしまいますが(?)、
私も、読んだことはありません・・・。
そこで、彼女らは、読んでいないけれどもなんとなく「罪と罰」について知っている知識を総動員して、
その内容を推察してみようという、大胆不敵な企画を立てたのであります。
何しろこのメンバーが、
岸本佐知子さん、三浦しをんさん、吉田篤弘さん、吉田浩美さんという
私が常より敬愛する人たち。
これで面白くないワケがないではありませんか!!
曰く、「読まないで、読む」。
「読む」という言葉は「先を読む」というように「推測する」という意味も持っています。
だから、本を読まないで、みんなで推測しようというワケ。
座談会方式で、話は進みます。
始めは皆「ラスコーなんとかという主人公が、おばあさんを殺しちゃう話」
くらいの知識しかありませんでした。
でもそれではあまりにも想像を広げにくいので、
6部に渡る本作のそれぞれ数ページのみを読むことを許容することにします。
ほんの言葉の端々から、いよいよ彼らの想像が膨らみ始める・・・。
始めのうちそれは、殺人を犯したラスコ
(本当はラスコーリニコフなのですが、皆さん省略してこう呼びます)が、
執拗な刑事から逃れ続ける「逃亡者」のようなストーリーという説が有力。
しかし、登場人物が増えていくと、ますます想像は羽を広げて・・・。
想像というよりも妄想に近くなっていきます。
特に、三浦しをんさんはサスガにすごい!!
なるほど、作家というのはこういうものか・・・と感心してしまいます。
苦労するのは、ロシア人の名前。
やたらと長ったらしくて、覚えられないし、
時には愛称で呼ばれたりもするので誰が誰やら。
それで、彼らは適当にわかり易い名前をつけてしまうのです。
先程の「ラスコ」を筆頭に、
友人の「ウラズミーヒン」が「馬」だったり、
ヒロイン・ソーニャの父マルメラードフが「マメ父」だったり・・・。
それだけでもう、笑えます。
そして嬉しいことに、この本ではこのハチャメチャな座談会の後に、
ちゃんとホンモノのあらすじ紹介があるのです。
そして、やはり答え合わせをしよう、ということで、
4人がみな実際に本を読んで、その後にまた座談会が持たれている。
まことに充実した「罪と罰」の手引となっています。
読後、みなさんがおっしゃるには
「思ったほど重厚ではなくて意外とエンタテイメント」
とのこと。
さすが世界の名作「罪と罰」。
面白くて読む価値は十分にありということのようです。
でもやっぱり私は、あらすじも知ってしまったことですし、
やっぱり読まないかなあ・・・。
それよりは、私はこの4人のダベリを
お酒でも飲みながらいつまでも聞いていたい・・・
「『罪と罰』を読まない」岸本佐知子 三浦しをん 吉田篤弘 吉田浩美 文藝春秋
満足度★★★★☆
図書館蔵書にて
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