故郷は・・・
* * * * * * * * * *
一人の女性と彼女に思いを寄せる二人の男性の人生を、
中国の近代化の波と合わせて描きます。
まずは1999年。
中国山西省。
タオはリャンズーと恋愛関係にありましたが、
実業家ジンシェンに言い寄られて結婚。
リャンズーは、故郷の町を離れます。
そして、タオとジンシェンの間には男子ダラー誕生。
2014年。
タオは離婚して一人で暮らしています。
息子ダラーはジンシェンにひき取られていますが、
タオの父が亡くなり、葬儀のために小学生のダラーがタオのもとにやってきます。
上海育ちのダラーはすっかり都会っ子。
それで初めはギクシャクしていたのですが、
ほんのひと時、互いの温もりを確かめ合うように、心を通わせます。
そして2025年。
父と共にオーストラリアに移住している大学生ダラー。
ふだん英語を使う彼は、もうほとんど中国語を忘れ、
未だに中国語にしがみついている父親との会話もままなりません。
そんな時、母親と同じ世代の中国語教師、ミアと出会います。
本作、三角関係のもつれ合う長年のドラマかと思ったら、
そういうわけではありませんでした。
なにしろ、2014年に病気で故郷に戻ってきたリャンズーは、
タオに治療費を出してもらったきり、その後全く登場せず、消息もわからないままです・・・?
これはメロドラマではなくて、むしろ、若きダラーのアイデンティティがテーマなのでしょう。
故郷の地を遠く離れた、オーストラリアに住むダラー。
母国語はすでに忘れている。
母とは11年前最後にあったきり。
自分は一体何者なのだろう・・・。
そんな思いにとらわれているのです。
自分はどこの人間で、これからどこへ行こうとしているのか。
生活はとても豊かなのですが、どこか拠り所のない気持ちで、心が休まらない。
そんな彼は、母がくれた「鍵」を取り出します。
「ここがあなたの家よ。いつでも帰ってきていいから。」
と、母がくれた故郷の家の鍵。
実際に帰らなくてもいい。
どこか「帰る場所」があると思えるだけでいいのですよね。
1999年のシーンでは、アンテナの付いたかなり大きめのケータイ電話。
2014年のところではアイフォン。
そして2025年のシーンでは透明の超薄型パッドが登場していました。
正に、昨今の時の流れはそういうところがよく象徴しています。
変化していくのは何も中国だけではありません。
私たちの身の回りもどんどん変わっていって、
私も、幼いころ住んでいたあたりは今は立派なマンションが立ち並んでいて、
かつての面影はどこにもありません。
そんな私の故郷はどこにありや?
母がなくなった今、思うのですが、
私にとっての故郷は「母」だったのかもしれないなあ・・・と。
ダラーにとっての故郷もまた母ですもんね。
そんなことを思うと、いい年をした今でも時々心がスースーします・・・。
「山河ノスタルジア」
2015年/中国・日本・フランス/125分
監督:ジャ・ジャンクー
出演:チャオ・タオ、チャン・イー、リャン・ジンドン、ドン・ズージェン、シルビア・チャン
母なる故郷度★★★★☆
満足度★★★.5
(今月から更新頻度をもとに戻します!)
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一人の女性と彼女に思いを寄せる二人の男性の人生を、
中国の近代化の波と合わせて描きます。
まずは1999年。
中国山西省。
タオはリャンズーと恋愛関係にありましたが、
実業家ジンシェンに言い寄られて結婚。
リャンズーは、故郷の町を離れます。
そして、タオとジンシェンの間には男子ダラー誕生。
2014年。
タオは離婚して一人で暮らしています。
息子ダラーはジンシェンにひき取られていますが、
タオの父が亡くなり、葬儀のために小学生のダラーがタオのもとにやってきます。
上海育ちのダラーはすっかり都会っ子。
それで初めはギクシャクしていたのですが、
ほんのひと時、互いの温もりを確かめ合うように、心を通わせます。
そして2025年。
父と共にオーストラリアに移住している大学生ダラー。
ふだん英語を使う彼は、もうほとんど中国語を忘れ、
未だに中国語にしがみついている父親との会話もままなりません。
そんな時、母親と同じ世代の中国語教師、ミアと出会います。
本作、三角関係のもつれ合う長年のドラマかと思ったら、
そういうわけではありませんでした。
なにしろ、2014年に病気で故郷に戻ってきたリャンズーは、
タオに治療費を出してもらったきり、その後全く登場せず、消息もわからないままです・・・?
これはメロドラマではなくて、むしろ、若きダラーのアイデンティティがテーマなのでしょう。
故郷の地を遠く離れた、オーストラリアに住むダラー。
母国語はすでに忘れている。
母とは11年前最後にあったきり。
自分は一体何者なのだろう・・・。
そんな思いにとらわれているのです。
自分はどこの人間で、これからどこへ行こうとしているのか。
生活はとても豊かなのですが、どこか拠り所のない気持ちで、心が休まらない。
そんな彼は、母がくれた「鍵」を取り出します。
「ここがあなたの家よ。いつでも帰ってきていいから。」
と、母がくれた故郷の家の鍵。
実際に帰らなくてもいい。
どこか「帰る場所」があると思えるだけでいいのですよね。
1999年のシーンでは、アンテナの付いたかなり大きめのケータイ電話。
2014年のところではアイフォン。
そして2025年のシーンでは透明の超薄型パッドが登場していました。
正に、昨今の時の流れはそういうところがよく象徴しています。
変化していくのは何も中国だけではありません。
私たちの身の回りもどんどん変わっていって、
私も、幼いころ住んでいたあたりは今は立派なマンションが立ち並んでいて、
かつての面影はどこにもありません。
そんな私の故郷はどこにありや?
母がなくなった今、思うのですが、
私にとっての故郷は「母」だったのかもしれないなあ・・・と。
ダラーにとっての故郷もまた母ですもんね。
そんなことを思うと、いい年をした今でも時々心がスースーします・・・。
山河ノスタルジア [DVD] | |
ジャ・ジャンクー,ジャ・ジャンクー,レン・チョンルン,半野喜弘 | |
バンダイビジュアル |
「山河ノスタルジア」
2015年/中国・日本・フランス/125分
監督:ジャ・ジャンクー
出演:チャオ・タオ、チャン・イー、リャン・ジンドン、ドン・ズージェン、シルビア・チャン
母なる故郷度★★★★☆
満足度★★★.5
(今月から更新頻度をもとに戻します!)
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