映画と本の『たんぽぽ館』

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護られなかった者たちへ

2021年10月11日 | 映画(ま行)

護られなかった者、とは。

* * * * * * * * * * * *

東日本大震災から9年経った宮城県内の都市部。

全身を縛られたまま放置され餓死させられるという陰惨な連続殺人事件が起こります。
刑事の苫篠(阿部寛)、蓮田(林遣都)らが捜査に当たっています。

被害者2人は、どちらも善人で人格者であると周囲からは言われていました。
やがてその2人は、同じ役所で生活保護の担当をしていたことが分かります。

そんなことから浮かび上がった容疑者は、
過去に放火事件を起こして服役し、刑期を終えて出所したばかりの利根(佐藤健)。
そしてそんな中、第3の事件が・・・?

この事件と平行して、津波に襲われた町のその直後、
避難所となった小学校での人々の様子が描かれて行きます。

何もかも流されて、行き場を失いひとりぼっちになってしまった
青年・利根と、小学生の少女・幹子。
この2人を何かと気遣い声をかける老女・けい(倍賞美津子)。
けいは元々一人暮らしで、家はかろうじて無事だったものの、
暮らし向きは苦しそうです。
身寄りのない3人が身を寄せて、しばし心安まる日々を過ごすのでした。

さて、この過去がどうして現在の殺人事件につながっていくのか、そこが問題なわけです。
生活保護、これが大きなテーマ。
生活保護は、収入の手立てを失った人を最後に救い上げるセイフティネットのはず。
ところが、本当に必要な人に届かず、逆に不正受給が横行。
そして杓子定規なこの制度のもとでは、被保護家庭の子供は塾にも通えない・・・。

こんな残念なことが実際には多いということなのでしょう。
苦しく切ない物語・・・。

清原果耶さんの役が、宮城県で人の役に立つ仕事をしている・・・ということで、
朝ドラに通じているなあ・・・などと思いながら見ていたのですが、
いやいや、そんなのんきにしている場合ではなかったのです!!

こんな役もするのだったのか。
清原果耶さん、恐るべし。

<シネマフロンティアにて>

「護られなかった者たちへ」

2021年/日本/134分

監督:瀬々敬久

原作:中山七里

出演:佐藤健、阿部寛、清原果耶、林遣都、倍賞美津子、吉岡秀隆、井之脇海

 

社会の矛盾度★★★★☆

切なさ★★★★☆

満足度★★★★☆



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