19世紀末のロードムービーアニメを楽しもう
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アニメーションスタジオ、ライカによるストップモーションアニメ。
19世紀末、英国。
神話と怪獣研究の第一人者を自称するライオネル卿。
権威ある協会に入りたいのですが、変人扱いされている彼は入れてもらえません。
そんなある日、伝説の生き物を発見して、自らの能力を世に示そうと、旅に出ます。
執事は辞めてしまったので、はるばるアメリカ北西部のワシントン州まで、孤独の旅。
そして彼は人類の遠い祖先、生きた化石=ミッシング・リンクと遭遇します。
この、Mr.リンクもたった一人、森の中で孤独に暮していたのです。
そのため、彼の親族がいるかもしれないシャングリラを目指すことに。
シャングリラ、すなわちヒマラヤ、雪男の目撃の噂があるところなんですね。
このビクトリア朝の時代性がすごくいいのです。
世界を旅する手段はかなり発達している。
しかしまだまだそう手軽というわけでもない。
船、列車、馬車、象・・・あらゆるものを利用して未開の地まで分け入っていく、
このロードムービー感がたまりません。
手間もかかるし時間もかかる。
本来旅というのはこういうものなのかも知れませんね。
ライオネル卿は始めはただ世間から高評価を受け、認められたい
というその一心だったのですが、
リンク(スーザン)と共に旅をするうちに、彼を本当の“友”と思うようになっていく・・・。
さてもう一人登場するのが、ライオネル卿の今は亡き友人の妻・アデリーナ。
実は彼女はライオネル卿の元妻なのです・・・。
微妙な関係ではありますが、このアデリーナが合理的かつ先進的考えの持ち主。
そんなだから、権威主義から抜け出せないライオネル卿とは
うまく行かなくなってしまったのかも知れません。
でも彼女も共に旅をすることにより、ライオネル卿との間もまた接近していきますが・・・。
しかし、安易な恋のハッピーエンドみたいにならないところがまたいい。
実に、今時の(舞台はビクトリア朝だけど!)女性の有り様を描き、いさぎよいです。
男女間だからといって、性愛ではなく、「友情」もまたいいものですね。
<WOWOW視聴にて>
「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」
2019年/アメリカ/95分
監督・脚本:クリス・バトラー
出演(声):ヒュー・ジャックマン、ザック・ガリフィアナキス、ゾーイ・サルダナ、エマ・トンプソン
旅感★★★★★
友情度★★★★★
満足度★★★★☆
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