映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

愚行録

2017年03月11日 | 映画(か行)
重くて、暗くて・・・



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この日の2本はしごは「彼らが本気で編むときは、」と、この「愚行録」。
邦画2本でしたが、「彼らが本気で・・・」の方を後に見るべきでした。
こちらは重くて、暗くて・・・。
原作は貫井徳郎さんなのでミステリですが、
謎解きというよりも、とにかく真相に驚き、
同時に暗澹とさせられてしまう作品なのでした。



田中武志(妻夫木聡)は、週刊誌の記者。
間もなく一年になるエリートサラリーマン一家惨殺事件の
犯人がまだ見つからないままのため、
改めて事件を追うことにしたのです。
被害者の関係者にインタビューをしていきますが、
被害者夫婦や証言者の思いがけない実像が次第に浮かび上がってきます。

そしてまた一方、田中自身もある問題を抱えていました。
彼の妹・光子(満島ひかり)が育児放棄で逮捕されてしまったのです。
光子自身子供の頃の心の傷を抱えており、
そんな生い立ちがこのような結果を呼び起こしたように見受けられるのですが・・・。



本作中で嫌~な気持ちにさせられるのは、
この被害者夫婦の学生時代のこと。
名の通った一流大学。
証言者の一人は
「そこにあったのは格差ではなくて、階級だ」
と言っていました。
学園内に暗黙のうちの陰湿なカースト構造があったというのです。
チヤホヤともてはやされ、いつも人の輪の中心にいるもの。
そして決してその輪の中には入れない者。
しかもその中心人物が、いかにも爽やかないい人を装い、
輪に入れないものに声をかけ遊びに誘ったりする。
でもそれは実は踏みつけにするための獲物であったりするのです。

う~ん、こういうの私はすごく嫌なのです・・・。
物語の中だけのことであってほしいとセツに思います。



はじめの登場シーンから、いかにも暗い妻夫木聡さんなのですが、
最後まで見てようやくその訳がわかります。
彼自身が抱える闇もまた、救いようがなく・・・。
また、どこか壊れたような満島ひかりさんの演技も光ります。
それこそこの兄妹自体が世の中のカースト構造の谷間に落ち込んでしまっている。
どこまでも救われないのでした・・・。



「愚行録」
2017年/日本/120分
監督:石川慶
原作:貫井徳郎
出演:妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美、市川由衣、松本若菜

救いのなさ度★★★★★
満足度★★.5
(単にあまりにも暗い作品が苦手ということです・・・)


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