映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

彼方の閃光

2024年10月12日 | 映画(か行)

モノクロの美しさ

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生まれて間もなく視力を失い、10歳の時に手術を受けて視力を回復したものの、
色彩を感じることができない、光(眞栄田郷敦)。

20歳の時に、戦後日本を代表する写真家・東松照明の写真に導かれ、長崎を訪れます。
そこで知り合った自称革命家の友部(池内博之)に誘われ、
彼のドキュメンタリー映画制作を手伝うことに。

長崎、そして沖縄の戦争の痕跡をたどることになった光。
心に傷を負いながらたくましく生きる詠美や、
家族を愛する糸洲との出会いがあり、
光は様々なことを学んでいきます。

そして、大きく時を経て、2070年。
71歳の光は、大きく変容した世界で、何を見るのでしょうか・・・?

モノクロの世界で生きている光の視点に合わせて、
本作、ほとんどがモノクロで表わされています。
けれど、このモノクロ画面がとてもみずみずしくて美しく、魅了されました。
光は、色彩を感じられないにもかかわらず、美術を学んでいるのです。
10歳で目が見えるようになったときに、
世界の美しさによほど心打たれたのかも知れませんね。
そして今もそのモノクロの世界に「美」を見出そうとしている。
だからこそ、本作のモノクロ映像も美しいのかも知れません。

が、さすがに美大に入ると若干行き詰まりを感じてもいた、光。
ある時に見た東松照明の、海上に浮かぶ雲の写真に心打たれてしまう。
そして、関連する「戦争」のことにも無関心ではいられない。

結局戦争とは何なのか。
どうして人類は戦争をやめられないのか。

そんな問いを繰り返しながら、年を重ね老いていく光の未来とは・・・?

 

荒廃した世界で、光が取り戻すものの意味はいったい何なのだろうと今も考えているのですが・・・。
そこにはまだ希望があるということなのかな?
そうだと良いのですが。

 

<Amazon prime videoにて>

「彼方の閃光」

2022年/日本/169分

監督・原作:半野喜弘

出演:眞栄田郷敦、池内博之、Awich、尚玄、加藤雅也

 

モノクロの美しさ★★★★☆

戦争を考える度★★★★★

満足度★★★.5



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