今さえよければいいのか?
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「今さえよければ、自分さえよければ、それでいい」――。
サル化が急速に進む現代社会でどう生きるべきか?
ポピュリズム、敗戦の否認、嫌韓ブーム、AI時代の教育、
高齢者問題、人口減少社会、貧困、日本を食いモノにするハゲタカ……
モラルの底が抜けた時代に贈る、ウチダ流・警世の書!
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久しぶりに、内田樹氏。
この「サル化」というのは古語「朝三暮四」の話からくるもの。
サルの思考回路のことを言っています。
今さえよければ、自分さえよければそれでよい。
長期的な先のことや全体的なことを見通していない。
・・・そういうサルのような思考回路に、
現代社会は陥っているのではないか・・・?
というのが主題です。
年金の話などを考えれば、まさにそうですね。
日本が超高齢化社会となることは何十年も前から分かっていたのに、
誰もが問題を先送りして、まともに抜本的な対策を立てようとしなかった・・・。
そんなだから今、老後にある程度の生活水準を保ちたければ
2000万円の貯金が必要だなどという話が出れば、
必死になってそれを潰そうとして、ひたすら真実を見ようとしない。
これもまた、不穏な未来を想像したくない、
今だけなんとか平穏を保つことができればいい・・・と、
まさにサル化の見本のような。
本巻には様々な問題があげられていますが、
内田氏の独自、独特の視点からの物言いは胸がすく感じがします。
ただし、独特すぎて、なかなかマトモに取り上げて
議論に乗せようとする人もあまりいなさそうなのが残念・・・。
「サル化する世界」内田樹 文春文庫
満足度★★★.5
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