
「禁じられた楽園」 恩田 陸 徳間文庫
恩田陸の作品を揚げればキリがありませんが、一番最近読んだものの紹介ということで・・・。
「幻想ホラー」と、この本の帯では称しています。
恩田陸の物語では時々出てくる迷宮が、そこにあります。
若き天才芸術家、烏山(からすやま)響一。
その怪しい魅力に、引き寄せられるように、熊野の山奥を訪ねることになる、登場人物たち。
熊野は、古来より日本の一種の霊場のような場所ですね。
その山奥に、いくつもの山をそのまま利用しつくられた、プライベートミュージアムがある。
テーマパークのようなその場所は、どんどん人を呼び寄せ、収益を上げるというようなことは、全く考えていない。
いったい何のためにそんなものが・・・。
謎は最後の最後に明かされることになります。
さて、注目すべきはその、野外美術館ですね。
断崖絶壁にかけられた透明アクリル板の橋。
私なら、もうそこでギブアップです。
でもそこはほんの入り口。
原色モザイクの丘。
よく見るとそれはたくみに遠近感を利用して作られた大きなドームの中の投影映像。
ゴムのカーテンの迷路。
微妙にゆがみ、たわみ、めまいをおこしそうになる。
はるか果てまで、全てレンガの石段で埋め尽くされた丘、また、丘。
などなど・・・。
このように書くと、それは何かしら、一度は行ってみたい体験型テーマパークのように感じられますが、
このストーリーの怖いところは、その道を行く人の、もっとも恐怖を感じること、感じたことが、さらに傷を押し広げるように、執拗に繰り返し繰り返しリアルに再現されてしまうのです。
だから体験する恐怖は、個人個人で異なる。
う~ん、私なら何でしょう。
幸い平凡な人生?を送っておりまして、そこまでの大きなトラウマやら、恐怖を感じたことがないかな・・・。
というか、そもそも、そんな人物は、この山には招かれるはずもないのでした・・・。
最後には意外な展開があり、思いがけないエンディングとなるのですが、ちょっとそこは出来すぎのような気もします。
それにしても、実際時々いますよね。
一種近寄りがたいオーラというか雰囲気を持つ人。
この本では、「日本人離れというより人間離れ」と表現していますが、人間離れして爬虫類や獣に近づいちゃう人もいるので、それもちょっとちがうかな。
とりあえず、カラスの絵のなかに入り込みそうな気がしたときには、気をつけることにしましょう。
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