出口のない闇・・・けれど夜明けはくる
* * * * * * * * * *
第5回ホラーサスペンス大賞受賞作であるこの本は、
著者のデビュー作で平成17年に刊行されたもの。
そして文庫化されたのが平成20年。
にもかかわらず、未だに賑々しく書店の店頭に並べられているというのは、すごいです。
ただ、私はそういう賑々しさには逆に反応してしまうあまのじゃくなタイプなので、
今まで読んでなかったのです。
でも、食わず嫌いはダメでしょう、と思い直してこの度ようやく読んでみた次第。
主婦佐知子は、夫の雄一郎とは8年前に離婚。
高校生の一人息子文彦と暮らしています。
別れた夫は精神科医で、元患者の亜沙実と再婚。
冬子という高校生の連れ子がいます。
佐知子は、自動車学校の教官犀田と愛人関係にありますが、
実はその犀田は冬子の恋人でもある。
ある夜、文彦がゴミを出すために家を出たまま、突然の失踪。
さらに、その翌朝、犀田が駅のホームで何物かに突き落とされ死亡。
佐知子は焦燥に駆られながら、
文彦の失踪の原因や行き先を必死に探ろうとします。
そんなおり、犀田の事件には冬子がからんでいる様相も見え始め・・・。
物語が進めば進むほどに、錯綜した人物関係が重くのしかかってきます。
根源は亜沙実の忌まわしい過去にあるのですが、
考えてみるとそれ以外には「ホラーサスペンス」というほどの陰惨な描写はないのですね。
そして誰もがきちんとした優しさを持っている。
しかし、だからこそなのでしょうか、
誰もが苦しみ、出口のない闇に沈んでいるように見受けられます。
このどうにもならない重苦しさは、どうみても悲惨なラストを予感させます。
実際一つの大きな悲劇はあるのですが・・・。
でも、夜明けは来ます。
それはひとえに文彦の若さが持たらすものなのかも知れません。
踏まれてもまた立ち上がるしなやかさ、強さ。それが救いです。
ということで、ベストセラーも一応納得・・・という作品でした。
ここに登場する、ご近所のオジサン、文彦のガールフレンドであるナズナの父が、なかなかいい味なのです。
始めは厚かましくてやたらに浪花調で、どうもいけ好かないイメージだったのですが、
何というか、次第にその裏のない癒やし系の人柄が見えてきまして、何だかホッとするのです。
冬の夜にであったお汁粉みたいな・・・。
うーん、でも、“とても好き”と思うにには、今一歩。
作品自体も、おもしろくはありましたが、
個人的には、絶対的自信を持って皆様におすすめ!というほどではないかなあ・・・と。
しかしまた、特筆すべきなのは、これを書いた当時の著者の年齢が56歳とのこと。
56歳にして、デビュー作での大賞受賞。
これは、すごい話ですね。
なにごとも、チャレンジに年齢制限なんかない!!
「9月が永遠に続けば」沼田まほかる 新潮文庫
満足度★★★★☆
![]() | 九月が永遠に続けば (新潮文庫) |
沼田 まほかる | |
新潮社 |
* * * * * * * * * *
第5回ホラーサスペンス大賞受賞作であるこの本は、
著者のデビュー作で平成17年に刊行されたもの。
そして文庫化されたのが平成20年。
にもかかわらず、未だに賑々しく書店の店頭に並べられているというのは、すごいです。
ただ、私はそういう賑々しさには逆に反応してしまうあまのじゃくなタイプなので、
今まで読んでなかったのです。
でも、食わず嫌いはダメでしょう、と思い直してこの度ようやく読んでみた次第。
主婦佐知子は、夫の雄一郎とは8年前に離婚。
高校生の一人息子文彦と暮らしています。
別れた夫は精神科医で、元患者の亜沙実と再婚。
冬子という高校生の連れ子がいます。
佐知子は、自動車学校の教官犀田と愛人関係にありますが、
実はその犀田は冬子の恋人でもある。
ある夜、文彦がゴミを出すために家を出たまま、突然の失踪。
さらに、その翌朝、犀田が駅のホームで何物かに突き落とされ死亡。
佐知子は焦燥に駆られながら、
文彦の失踪の原因や行き先を必死に探ろうとします。
そんなおり、犀田の事件には冬子がからんでいる様相も見え始め・・・。
物語が進めば進むほどに、錯綜した人物関係が重くのしかかってきます。
根源は亜沙実の忌まわしい過去にあるのですが、
考えてみるとそれ以外には「ホラーサスペンス」というほどの陰惨な描写はないのですね。
そして誰もがきちんとした優しさを持っている。
しかし、だからこそなのでしょうか、
誰もが苦しみ、出口のない闇に沈んでいるように見受けられます。
このどうにもならない重苦しさは、どうみても悲惨なラストを予感させます。
実際一つの大きな悲劇はあるのですが・・・。
でも、夜明けは来ます。
それはひとえに文彦の若さが持たらすものなのかも知れません。
踏まれてもまた立ち上がるしなやかさ、強さ。それが救いです。
ということで、ベストセラーも一応納得・・・という作品でした。
ここに登場する、ご近所のオジサン、文彦のガールフレンドであるナズナの父が、なかなかいい味なのです。
始めは厚かましくてやたらに浪花調で、どうもいけ好かないイメージだったのですが、
何というか、次第にその裏のない癒やし系の人柄が見えてきまして、何だかホッとするのです。
冬の夜にであったお汁粉みたいな・・・。
うーん、でも、“とても好き”と思うにには、今一歩。
作品自体も、おもしろくはありましたが、
個人的には、絶対的自信を持って皆様におすすめ!というほどではないかなあ・・・と。
しかしまた、特筆すべきなのは、これを書いた当時の著者の年齢が56歳とのこと。
56歳にして、デビュー作での大賞受賞。
これは、すごい話ですね。
なにごとも、チャレンジに年齢制限なんかない!!
「9月が永遠に続けば」沼田まほかる 新潮文庫
満足度★★★★☆
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます