カナのオアシスは何処に
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21歳カナ(河合優実)は、美容脱毛クリニックで働いていますが、
自分が人生に何を求めているのか分かりません。
何に対しても情熱が持てず、恋愛すらも成り行き任せ。
同棲するホンダ(寛一郎)は優しく、料理を作ったり、なにかと彼女を喜ばせようとしてくれます。
けれど一方では、自信家のクリエイター、ハヤシ(金子大地)との関係を深めていって・・・。
何に対しても無関心、そして無軌道に見えるカナ。
さてと、一体この娘をどう捉えればいいのか・・・と悩みながら見て行くわけですが、
でも、次第に引き込まれて行きます。
すごくイイ奴じゃんと思えるホンダを捨て去り、あっさりハヤシに乗り換え。
いかにも気持ちはさらさらと流れて、一カ所に執着しない。
というよりも、執着できないのでしょう。
執着するだけの感情とか強い意志があれば、もっと生きやすいのに。
この世界の、人々が作り出した仕組みの有り様すべてが彼女には苦しい。
本当は彼女はどうしたいのか。
ラスト近く、さすがに自分でもおかしいと思った彼女は、カウンセリングを受けます。
そのシーンを見て少し思ったのは、
彼女は心の奥底で、もっと純粋で単純で明るい何かを希求しているのではないか。
ナミビアの砂漠の小さな小さな水場に、
生き物たちがほんのひとときの癒やしを求めてやってくるように。
でも、現実はそうではないから苦しい。
それは振り幅の違いこそあれ、人はみなそうであるのかもしれず、
だから私たちは、カナにどこかひかれてしまうのかも知れません。
些細なことで感情が爆発し、壮絶に格闘を始めてしまうカナとハヤシなのですが、
最後の方で、これは2人のレクリエーションみたいになっていますね。
2人の鬱憤晴らし。
本気でやれば、さすがに男性の方が力ずくで女性を押さえ込んでしまうこともできるはず。
でも、ちょっぴり手加減してますよね、彼は。
そもそもそんなカナを追い出したりもせず、彼女に寄り添おうとしているのは、
なかなかコイツも良いヤツなんじゃないの?と思うわけです。
<WOWOW視聴にて>
「ナミビアの砂漠」
2024年/日本/137分
監督・脚本:山中瑤子
出演:河合優実、金子大地、寛一郎、新谷ゆづみ、中島歩、唐田えりか
不機嫌度★★★★★
無軌道度★★★★☆
満足度★★★.5
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