映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「アクアマリンの神殿」海堂尊 

2016年05月10日 | 本(その他)
海堂作品の学園モノ

アクアマリンの神殿 (単行本)
海堂 尊
KADOKAWA/角川書店


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未来医学探究センターで暮らす佐々木アツシは、
真実を隠して中学生活を送っていた。
彼の業務は、センターで眠る、ある女性を見守ること。
だが彼女の目覚めが近づくにつれ、少年は重大な決断を迫られる――。


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「モルフェウスの領域」の続編であり、表裏の関係にもある作品です。
「モルフェウス…」の時にも書いたのですが、
本作は新聞に連載されていて、はじめの方は読んでいたのですが、
途中で学園ドラマ調になってきたのがなんだか馴染めず、
途中で読むのをやめてしまっていました。


コールドスリープから覚めた佐々木アツシくんが主人公。
彼は「ナイチンゲールの沈黙」に登場していて、その時は5歳。
何やら感慨深いものがありますねえ・・・。
まるで親戚のおばさんになったような気分です。


さて、前作ではアツシ少年が眠り続けている間、日比野涼子が彼を見守っていたのですが、
本作は日比野涼子がコールドスリープ中で、
それをアツシ少年が見守っているのです。
コールドスリープ中にあらゆる知識を吸収した頭脳は
今さら学校へ行って学ぶ必要はないのですが、
集団の中で生活するすべを学ぶことも必要、
ということで中学校に通っています。
なるべく目立たないように、試験もわざと間違えて
平凡な点数を取るというふうに過ごしていた彼ですが、
それでも親しい仲間ができてくる。
「ドロン同盟」などと怪しい名称の仲間たち。
結局本作はアツシくんの青春物語というわけなのですが、
そのように覚悟を決めれば結構楽しめました。
海堂作品としては、珍しいですしね!
溢れすぎるくらいに豊かな個性の面々は、それだけでも楽しいし、
ラストのほうで、田口医師が登場したのもウレシイところです。
5歳のアツシくんを診ていた時から、
田口センセにも、あまりにも色々なことがありましたよねえ・・・
(って、また親戚のおばさんになっちゃってる。)
いつかまた、今度は医師となったアツシくんの悪戦苦闘が見られるのかもしれません。

「アクアマリンの神殿」海堂尊 角川書店 (図書館蔵書)
満足度★★★.5


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