映画と本の『たんぽぽ館』

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ブレードランナー ディレクターズカット版

2017年10月29日 | 映画(は行)
「ブレードランナー2049」の予習



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エイリアンについで、なぜ旧作を引っ張り出してきたかというと、
「ブレードランナー2049」という作品が公開されていまして、
それがこの「ブレードランナー」の続編ということなので、そのための予習です。
私は「ブレードランナー」という名前だけは知っていたものの、
見たことはなかったのです。
それでこの度見たのは、1982年版の「ブレードランナー」を
1993年にリドリー・スコット監督が再編集した作品。
あらら、ところが実は更に再編集したファイナルカット版(2007年)というのがあったのですね・・・。
そちらを見るべきだったのか、と思いつつ・・・。
このディレクターズ・カット版は、
当初あった主人公デッカードのナレーション、
バイオレンス描写、ハッピーエンディングが削除されているということなので、
かなり大掛かりな改変があったようです。
3作見比べるのも良さそうですが、
実のところぜひまた見たい、という気のする作品でもなかった・・・というのが正直なところ。



さて、物語は・・・
2019年ロザンゼルス。
遺伝子工学の新技術によりレプリカントという人造人間が作り出されていて
宇宙探索や植民地惑星の危険な労働に従事、
と言うよりは使役されていました。
レプリカントは人間そっくりで、見ただけでは区別がつきません。
感情はないのですが、長く生きると次第に感情が芽生えてくる。
それで、はじめから寿命が短く設定されている・・・。
ところがこのレプリカントたちが自らの境遇に不満を持ち反乱を起こすようになります。
そんな反乱分子のレプリカントを撲滅するための捜査官が、ブレードランナーという存在。
さてある時、4名のレプリカントが地球に侵入。
ブレードランナーであるデッカード(ハリソン・フォード)が
任務を受けて、彼らの捜索に乗り出します。
そんななかで、デッカードはレプリカントの製造元であるタイレル社で
レイチェルというレプリカントに会い、心を通わせていきますが・・・。



2019年。
レプリカントはもとより、飛行自動車もまだできていません。
未来への速度は予想よりもかなり遅れているなあ・・・。
でもそれほどの未来でも、ロスの下町、チャイナタウンは雑多で猥雑、ゴミだらけ。
そうした「退廃的未来」の表現がナイスです。
でもここに出てくるチャイナタウンはずいぶん日本に近いですね・・・。
80年代アメリカでは日本も中国も一緒くたか・・・。



さて、レプリカントという存在が問題。
人と同じ思考能力があり身体能力は人以上。
それでいて扱いが人並み以下であれば不満が出るのは必至です。
しかも通常は感情がなく、ある程度生きて感情が芽生え始めたところで寿命を迎える、
というのはあまりにも酷ではあるまいか・・・。
ここに登場するレイチェルは自分自身でもレプリカントだということを知らなかったのです。

自分の過去の記憶と思っていたものも、植え込まれたものだった・・・。
となれば、全世界の自分は人間だと思っている人々も
実はレプリカントなのではあるまいか・・・?
レプリカントと人の差異は一体何なのか?
このあたりが大きなテーマですね。
多分、この度の新作も、そのあたりをついてくるのではないかと思います。
本作の30年後2049年を舞台とする新作。
ハリソン・フォードがそのままの役で年令を重ねて登場するというのも洒落ています。
ぜひ見たいと思う。



本作、全体的に暗い色調で空虚感が漂う。
多分公開時は、クールで尖った感じのかなりのSFマニア向け作品だったのでは?
というところが実は私は少し苦手だったりする・・・。

本稿の掲載写真は2007年ファイナルカット版より

<J-COMオンデマンドにて>
「ブレードランナー ディレクターズカット版」
※初公開1982年
1993年/アメリカ・香港/117分
監督:リドリー・スコット
出演:ハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤング、エドワード・ジェームズ・オルモス、ダリル・ハンナ

SFハードボイルド度★★★★☆
満足度★★★☆☆


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