自分らしく在ることが、こんなにも難しい
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故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙(草なぎ剛)。
ある日、実の母に育児放棄されている親戚の少女、一果(服部樹咲)を預かることになります。
二人は全くなじめず、ぎこちない日々。
一果はバレエに憧れ、全く独自で練習していたのですが、
スクールに通うようになり、めきめきとその才能を開花させていきます。
しかし、バレエを続けるためにはひどくお金がかかるのです・・・。
LGBTの問題は昨今いろいろなところで取り上げられ、
多少なりとも理解は進んでいるようでもありますが、
でも実際上の大きな壁について、とてもリアルに語られていると思いました。
凪沙が実家には隠しているトランスジェンダーのこと。
通常の会社勤めなどは難しいので、ショーに出るような稼ぎ方しかできないこと。
実際上の性転換には大金がかかること。
そしてその手術は必ずしも安全ではないこと・・・。
何よりも世間の人々が彼女を見る好奇の目・・・。
でも、一果は「おじさん」と聞いていたのに、女装した人物であったことに驚きはしたものの、
そのことについては嫌悪を感じていなかったようなのが救い。
そして彼女は凪沙の「孤独」をくみ取ることができる。
それは、行き場をなくした自分も同じなので。
そして凪沙は、一果を「ただの生意気なガキ」から、「守らなければならない大切なもの」へと意識を変化させていきます。
それは、凪沙の中の母性の芽生えのようでもありますが・・・、
私は、凪沙が一果に「そうありたかった」自分を見ているような気がするのです。
白鳥の湖を完璧に踊る、美しく、無垢な少女。
こんな風に生まれてきたかった・・・、と。
実際、この子が素晴らしかったです。
オーディションで選ばれたという新人、服部樹咲(みさき)さん。
もちろん、バレエで実際に活躍している方なんですね。
ステキです♡
本作だけでなく、また別の作品でも見てみたい。
<シネマフロンティアにて>
「ミッドナイトスワン」2020年/日本/124分
監督・脚本:内田英治
出演:草なぎ剛、服部樹咲、田中俊輔、水川あさみ、田口トモロヲ
トランスジェンダーの現実度★★★★★
満足度★★★★☆
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