ヤクザと少年
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中学校合唱部の部長を務める岡聡実(齋藤潤)。
変声期で、ソプラノを歌いにくくなっていて、
少し歌から離れたい心境になっています。
そんなある日突然、地元の見知らぬヤクザ・成田狂児(綾野剛)から
カラオケに誘われ、歌のレッスンをしてほしいといわれます。
組長が主催するカラオケ大会で、
最下位になると恐怖の罰ゲームがあるから、と言うのです。
聡実はいやいやながら引き受けましたが、
カラオケを通じて少しずつ二人の距離が縮まっていきます。
綾野剛さんのカラオケシーンが傑作なのです。
狂児の勝負曲は、X JAPANの「紅」。
まあたいていの人がそうだろうと思うのですが、
狂児にはキーが高すぎてすべて裏声。
聡実は容赦なく「終始裏声が気持ち悪い」と評します。
そして狂児に歌いやすそうな曲をいくつかセレクトしてくれるのですが、
狂児はその合間にも「紅」を歌わないと気が済まない。
よほど好きみたいです。
とにかく、始めは狂児を怖がっていた聡実ですが、
次第にそのあけすけで、でも相手を師として敬い、
けれど中学生としての配慮も忘れないという人柄にひかれて行きます。
マジで、恐いけどイイ奴。
多感な思春期の少年も、言葉少なだけれど色々と得るものも多かったようで、
よかった、よかった・・・。
合唱部中心の根性モノではないところも気に入っています。
でもその合唱部の友人たちも、なかなか大人な対応。
よいわ~。
ラストに聡実が「紅」を歌うシーンがありまして、思わず泣ける!!
けど、その結末もまた傑作なので、ぜひお楽しみに。
そして、エンドロールと共に流れてくるのがまた「紅」。
しかしこれは、Little Glee Monsterと府中市立府中第4中学校合唱部とのコラボで、
これがまたステキなのです。
みなさま、これはオススメ作なので、ぜひどうぞ。
<TOHOシネマズ札幌にて>
2024年/日本/107分
監督:山下敦弘
原作:和山やま
脚本:野木亜紀子
出演:綾野剛、齋藤潤、芳根京子、橋本じゅん、坂井真紀、北村一輝、加藤雅也
「紅」の魅力度★★★★★
満足度★★★★★
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