妄想をふくらませる男のおかしみ

* * * * * * * * * *
舞台はフランス、ノルマンディーの小さな村。
マルタンは、都会で編集の仕事をしていましたが、
嫌気が差し退職。
ここで父のパン屋を継ぎ、妻と息子とともに平穏な暮らしをしています。
彼の楽しみは読書。
特に「ボヴァリー夫人」がお気に入りで、何度も読み返している。
そんなある日、隣家にイギリス人夫妻が引っ越してきます。
チャーリー・ボヴァリーとその妻ジェマ。
名前の一致だけではなく、倦怠感をまとわせた若き人妻ジェマに、
マルタンは引きこまれてしまうのです。

ある時、夫の目を盗んで若い青年と情事を重ねるジェマを見て、
マルタンはいよいよ小説と現実を重ねあわせ、
小説のボヴァリー夫人とジェマが同じ運命をたどることを恐れるようになりますが・・・。

マルタンは、ひたすら傍観者としてジェマを追います。
実際に手を触れたりはしない。
(ハチに刺された背中の毒を吸い出すという大胆なシーンはありましたが!)
そうして、彼女の情事までをも見てしまうことになる。
だけれども彼女に相手にされない自分を惨めに思ったりはしないんですよ。
ひたすら自分の妄想をふくらませているだけ。
そういうところがすごくカラッとしていて、おかしみに満ちている。
本人は隠しているつもりなんだけれども、彼の奥さんも息子もそんなことはお見通しのようでした。
さすがフランスのウイットとでも言うのでしょうか、私は好きですねえ。
変にジメジメしないところが。

しかし、あの柔らかくてしかも弾力のあるパン生地をこねるシーンが、
妙に艶めかしく肉感的。
パンが美味しそうなのも確かですが、
パン生地にこんなに魅せられるとは思わなかった。
そして、思いもよらない皮肉な結末。
更に加えて、ラストシーンにはもう、笑うしかありません。
う~ん、面白かった。
そうそう、両家のそれぞれのワンちゃんたちがまた、いい味を出してました。

「ボヴァリー夫人とパン屋」
2014年/フランス/99分
監督:アンヌ・フォンテーヌ
出演:ファブリス・ルキーニ、ジェマ・アータートン、ジェイソン・フレミング、ニール・シュナイダー、イザベル・カンディエ
妄想度★★★☆☆
セクシー度★★★★☆
満足度★★★★☆

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舞台はフランス、ノルマンディーの小さな村。
マルタンは、都会で編集の仕事をしていましたが、
嫌気が差し退職。
ここで父のパン屋を継ぎ、妻と息子とともに平穏な暮らしをしています。
彼の楽しみは読書。
特に「ボヴァリー夫人」がお気に入りで、何度も読み返している。
そんなある日、隣家にイギリス人夫妻が引っ越してきます。
チャーリー・ボヴァリーとその妻ジェマ。
名前の一致だけではなく、倦怠感をまとわせた若き人妻ジェマに、
マルタンは引きこまれてしまうのです。

ある時、夫の目を盗んで若い青年と情事を重ねるジェマを見て、
マルタンはいよいよ小説と現実を重ねあわせ、
小説のボヴァリー夫人とジェマが同じ運命をたどることを恐れるようになりますが・・・。

マルタンは、ひたすら傍観者としてジェマを追います。
実際に手を触れたりはしない。
(ハチに刺された背中の毒を吸い出すという大胆なシーンはありましたが!)

そうして、彼女の情事までをも見てしまうことになる。
だけれども彼女に相手にされない自分を惨めに思ったりはしないんですよ。
ひたすら自分の妄想をふくらませているだけ。
そういうところがすごくカラッとしていて、おかしみに満ちている。
本人は隠しているつもりなんだけれども、彼の奥さんも息子もそんなことはお見通しのようでした。
さすがフランスのウイットとでも言うのでしょうか、私は好きですねえ。
変にジメジメしないところが。

しかし、あの柔らかくてしかも弾力のあるパン生地をこねるシーンが、
妙に艶めかしく肉感的。
パンが美味しそうなのも確かですが、
パン生地にこんなに魅せられるとは思わなかった。
そして、思いもよらない皮肉な結末。
更に加えて、ラストシーンにはもう、笑うしかありません。
う~ん、面白かった。
そうそう、両家のそれぞれのワンちゃんたちがまた、いい味を出してました。

![]() | ボヴァリー夫人とパン屋 [DVD] |
ファブリス・ルキーニ,ジェマ・アータートン,ニールス・シュナイダー,ジェイソン・フレミング | |
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント |
「ボヴァリー夫人とパン屋」
2014年/フランス/99分
監督:アンヌ・フォンテーヌ
出演:ファブリス・ルキーニ、ジェマ・アータートン、ジェイソン・フレミング、ニール・シュナイダー、イザベル・カンディエ
妄想度★★★☆☆
セクシー度★★★★☆
満足度★★★★☆
中学の頃に大ヒットしたラストのロシア民謡に笑いました。
ぼーっとしているように見えた息子の最後のセリフが聞いていましたよねえ。
このラストで、この作品が一層好きになりました。