映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命

2017年12月19日 | 映画(や行)
命がけで守った、多くの命



* * * * * * * * * *

2次大戦中のポーランド、ワルシャワで、
動物園の園長夫妻が300人のユダヤ人の命を救ったという実話をもとにしています。



1939年秋、ドイツがポーランドに侵攻。
ワルシャワにはヨーロッパ最大級の規模を誇る動物園がありました。
ヤン(ヨハン・ヘルデンベルク)とアントニーナ(ジェシカ・チャステイン)夫妻が営んでいます。
動物園は空襲で多くの動物を失い、
また逃げ出した動物たちも危険だからと、射殺されてしまいます。
そして、動物園はナチス軍の武器置き場に活用されることになり、動物園としての機能は休業状態。

そんな中で、夫妻はある危険な行動を取ることを決意。
ユダヤ人のゲットーから密かに人々を連れ出して、
動物園の地下に匿い、他所へのがれるための手助けをしようというのです。
このことが露見すれば、もちろん命はありません。
アントニーナに横恋慕してちょくちょくやってくる
ナチス将校ヘック(ダニエル・ブリュール)の目をかすめつつ、作戦は続けられます・・・。



シンドラーや杉原千畝、そしてこの夫妻。
全体から見ればわずかかもしれませんが、
少しでも多くユダヤ人を救済しようとした人々がいたことはうれしいですね。
ついには救済されえずに、収容所へ向かう列車に詰め込まれた
多くの人たちの姿もまた映し出されていたわけですが。



ユダヤ人たちが潜む場所はヤン一家の居住する家の地下。
意外と安普請(?)らしくて、音が互いに筒抜けです。
日中はこの家に料理人がやってくるので、ほとんど音を立てることができません。
そのため彼らは日中に睡眠をとることにして、
軍が引き上げた夜になってから居間に上がり、
ようやく人並みのゆったりとした時間を過ごすことができるのです。
ふだんは当たり前に思っているごく普通の生活が、
ある日突然、崩れ去り、それがいかに貴重なものであるかがわかる。

・・・まあ、そんなことがわかる日がこないことを祈ってしまいますが。



ダニエル・ブリュールは、奥さんへの恋心と動物好きなこともあって、
ドイツ人でありながら真実を知っても、知らないふりをしてくれる良い奴の役・・・?
と、はじめ思ったのですけれどね・・・。
残念ながら違いました。
ナチスはやはりナチスなのか・・・。
ドイツ人の中にも、人らしい心を持った人もいる・・・そんな展開もほしかったのですが。



<シアターキノにて>
「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」
2017年/チェコ・イギリス・アメリカ/127分
監督:ニキ・カーロ
出演:ジェシカ・チャステイン、ダニエル・ブリュール、ヨハン・ヘルデンベルク、マイケル・マケルハットン
歴史発掘度★★★★☆
満足度★★★★☆


最新の画像もっと見る

コメントを投稿