映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

3つの鍵

2024年09月27日 | 映画(ま行)

扉の向こうには

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ローマの高級住宅地。
同じアパートに住む3つの家族の素顔を描きます。

これらの家族は、それぞれが顔見知り程度で、
各家庭の扉の向こうにある本当の顔は知りません。

こういう関係は、日本でもほとんど当たり前なのではないでしょうか。
顔を合わせば挨拶くらいはするけれど、
その人たちのこれまでのこと、家族のことなどにあまり関心を向けたことはありません。
でもそれぞれの扉の向こうには、確かにそれぞれの幸福や不幸の物語がある・・・。

3階に住むのはジョバンニとドーラ。
ジョバンニは裁判官で、妻ドーラは何をするにも夫の意見を仰ぎ、
自分1人では生きていけないと感じています。
ある時、息子アンドレアの運転する車が飲酒運転で建物に衝突し、
巻き込んだ一人の女性が亡くなってしまいます。
あきれ果てたジョバンニは息子を勘当。
妻には、自分と生活するか、息子と出ていくかどちらかを選べと迫ります。

2階に住むのは、妊婦モニカ。
その夜陣痛が始まり、夫は出張中のため、一人で病院へ向かいます。
夫は出張が多くて、ほとんど家にいることがないのです。
モニカは病院で無事女児を出産します。

1階に住むのは、ルーチョとサラ。
二人にはまだ幼い娘がいて、何かの時には向かいに住む老夫婦に娘を預けていました。
しかしどうもその夫の方は認知症になってきているらしいのです。
そしてある時、その老人とルーチョの娘が散歩に出たきり行方不明に・・・。
後に二人は無事発見されますが、
ルーチョは老人と娘の間に何かがあったのでは・・・?
と言う疑惑に駆られてしまいます。

本作は、その後この3家族の5年後と10年後が描かれていきます。

心の中の苦しい思いを誰にも言えず持ち続けたまま、流れていく年月。
端から見ればごく平穏な生活に見えていたかも知れません。
でも実のところは決してそうではない・・・。

現実の身の回りも、実はこんなものなのかも知れませんね・・・。

 

<Amazon prime videoにて>

「3つの鍵」

2021年/イタリア・フランス/119分

監督:ナンニ・モレッティ

原作:エシュコル・ネボ

出演:マルゲリータ・ブイ、リッカルド・スカマルチョ、アルバ・ロルバケル、
   アドリアーノ・ジャンニーニ、エレナ・リエッティ、アレッサンドロ・スペルドゥーティ、アンナ・ボナイウート

 

家族を考える度★★★★☆

満足度★★★★☆



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