映画と本の『たんぽぽ館』

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ビューティフル・デイ

2019年10月31日 | 映画(は行)

危うさを秘めた暗殺者

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元軍人のジョー(ホアキン・フェニックス)は、年老いた母と暮らしていますが、
暗殺者という秘密の仕事を持っています。
それもマフィアの刺客というわけではなく、闇の中で行われる犯罪に私的制裁を加えるというもの。

あるとき、拉致監禁されていると思われる政治家の娘・ニーナを救出する依頼を受けます。
そして犯人たちを始末するように、と。
そこで、ジョーは少女売春の巣窟と思われる現場へ侵入しニーナを救出するのですが、
なんと彼の目の前で再びニーナはさらわれてしまう・・・。

 

さて、このようにあらすじだけを書けば必殺仕事人のようなヒーローものを思い浮かべるでしょう。
ところが、本作はそう簡単ではありません。
ジョーは戦争で心に深い傷を持っているのです。
そう、先日見た「アメリカン・ソルジャー」のように。
彼はその屈強な体と戦闘能力を買われてこの闇の仕事に就いたと思われるのですが、
そのために虐待や、暴力、痛み・死・・・本来避けるべき事柄に、直に触れることになってしまいます。
彼の心はかなり危ういところにある。
強靱な体をもちながらも、ガラスのように今にも砕けそうな心。

 

一方、なすすべもなく体を蹂躙されるしかないか弱い少女ニーナは、
強い「自己」を持つのです。

 

庇護する者とされる者がいつの間にか逆転して行くところが興味深い。

 

そして、このほとんど狂気一歩手前のジョー、すなわちホアキン・フェニックスに、
私は「ジョーカー」の萌芽を見るのです。
本作があって、ホアキン・フェニックスはうまくジョーカーへシフトできたような気がします。

 

ビューティフル・デイ [DVD]
ホアキン・フェニックス,ジュディス・ロバーツ,エカテリーナ・サムソノフ,ジョン・ドーマン,アレックス・マネット
Happinet

WOWOW視聴にて>

「ビューティフル・デイ」

2017/90/イギリス

監督:リン・ラムジー

出演:ホアキン・フェニックス、ジュディス・ロバーツ、エカテリーナ・サムソノフ、ジョン・ドーマン、アレックス・マネット

 

仕事人度★★★★☆

狂気度★★★.5

美少女度★★★★☆

満足度★★★★☆

 



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