「木野塚佐平の挑戦だ」 樋口有介 創元推理文庫
前作「木野塚探偵事務所だ」が、妙に気に入ってしまったので、続編のこの本も読んでみました。
前作は短編集だったのですが、こちらはれっきとした長編。
前作ラストでケニアへ行ってしまった助手の桃世が帰国するところから話は始まります。
やはり、彼女がいないと、あまりにも地味すぎて、ストーリーにならない・・・。
木野塚氏は相変わらずです。
あこがれの美人ニュースキャスターとの不倫を夢想する、
思い込みの激しい自称ハードボイルドのおじさん探偵。
その、妄想癖を除けば、いたって善良でまっとうで、お人よしに過ぎるくらい。
癒し系ハードボイルド。うん、そういう感じです。
しかし、前回では金魚の行方捜索がいいところだったのですが、
なんと今回は突然政治の中枢人物と係るという大立ち回り。
侮れないおじさんだ・・・。
国民からは絶大な人気がある現職の総理大臣、村本啓太郎が急死。
そこへ、ささやかれる暗殺説。
『天下り完全禁止法』の行方は・・・。
何しろ完全にいかれた感じのオタク男や、ホームレスの総元締めみたいな人とも、普通に会話できちゃう。
本心は、ぎょっとしつつ、つい、人の良さで、まともに受け入れてしまうという、この辺も、やはり性格なのですよね・・。
これら全く別々の事件、登場人物が次第につながりを見せてゆく。
そして、ミステリの醍醐味、最後の代どんでん返し!
うーん、でも、これは、奇想天外に過ぎるかも・・・。
木野塚氏だからま、いいか。天下の名探偵ですもんね。
それにしても、今回の桃世さんのやり方はちょっと汚い。
激怒しなかったのはやはり木野塚氏のお人柄というべきか。
満足度★★★★
最近、自己啓発関係の本しか読んでいないので、たんぽぽさんが紹介してくれているような他のジャンルのものにも挑戦しようかと思ってます。
それにしても、暑いです。
そちらはどうですか?
梅雨もないし、ここら辺が北海道のいいところです。
昨日あたりから、宮部みゆきの「孤宿の人」というのを読んでいまして、江戸もの。なかなか面白いです。