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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

小説の神様 君としか描けない物語

2023年10月10日 | 映画(さ行)

問題を持つ2人で

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相沢沙呼による小説を映画化したもの。

中学生で作家デビューしたものの、その後発表した作品を酷評され、
売り上げも伸びない、ナイーブな高校生、千谷一也(佐藤大樹)。

そして、同じクラスの人気者でドSの小余綾詩凪(橋本環奈)も
高校生作家で、ヒット作を連発しています。

性格もクラスの立ち位置も作家としての注目度も、正反対の二人。
二人は互いを作家とは知らないでいたのですが、
ある時、編集者から勧められ、小説を共作してベストセラーを目指すことに。
その時ようやく二人は互いが小説家であることを知るのです。
しかし、当初は反発し合うばかりで・・・。

本作、冒頭はモノクロなのです。
思うように小説は書き進まず、ネットでエゴサーチをすれば自作をこき下ろす記事ばかり。
という陰々滅々の一也に寄り添っている色調。
ところが、綾詩凪と向きあい共作を始めてから、彼の世界が色づく。
画面の色調もカラーへと変化します。
いい感じです。

綾詩凪がプロットを考え、一也が文章を書き起こす。
こうしたコンビネーションで二人の小説は息づいていくのです。

しかしやがて一也は、綾詩凪が抱える意外な秘密を知って・・・。

若くして小説家として有名になってしまうというのも、なかなか大変なことですね。

文芸部の小説を書けない部長さんとか、
いま、その道を歩もうとしている少女とか、
彼らを取り巻く人物造形も魅力的です。

まあ、楽しめました。

<Amazon prime videoにて>

「小説の神様 君としか描けない物語」

2020年/日本/106分

監督:久保茂昭

原作:相沢沙呼

脚本:鎌田哲生

出演:佐藤大樹、橋本環奈、杏花、莉子、和久井映見

 

青春度★★★★★

満足度★★★.5


島守の塔

2023年10月09日 | 映画(さ行)

人々の安全を優先に・・・という意志も空しく

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太平洋戦争末期の沖縄が舞台です。

激しい空襲と艦砲射撃、そして上陸戦で、20万人が犠牲となりました。
本作は、絶望の淵に立たされながら、「命こそ宝」を訴え、後世に希望を託した二人、
沖縄県知事・島田叡(萩原聖人)と、警察部長・荒井退造(村上淳)を描きます。

県知事・島田が赴任したのは、すでに那覇が空襲で焼かれ、ほとんど廃墟となっている時期。
島田は、他に誰も来たがらないだろう・・・ということで、
自ら泥をかぶる覚悟で赴任してきたのです。

警察部長・荒井も当時想像されるような高圧的な人物ではなく、
なんとか沖縄の人々の力になりたいということでは、
二人とも意見は一致します。

実際はどうか分かりませんが(?)二人ともリベラルな思想の持ち主。
野球が好きで、野球の話になるとつい、敵性語が飛び出してしまうのもご愛敬。
この二人の当面の敵は、もちろん米軍ではありますが、日本の陸軍でもあります。
彼らは沖縄県人をゲリラに仕立て、
まさに、全員を盾にして米軍と戦わせようと目論んでおり、
現にそうしたわけで・・・。

そんな中でも島田と荒井は、なんとか人々を巻き込まず安全に暮らさせてやりたいと、
彼らのできる精一杯のことをするのですが、
でも事態は悪くなるばかり・・・。

そして本作で女性代表として登場するのは、県知事の世話役となる
県職員・比嘉凜(吉岡里帆)。
彼女はこれまで教えられた通り、もし米軍が責めてくれば、命をかけて闘う心づもり。
というのも、米軍が来れば、男は八つ裂き、女は犯されると聞かされていたから・・・。
万が一の時には、辱めを受ける前に自決せよと言い渡されていたことを、
当然のように受け入れているのです。
しかし、彼女の親しい人々も血まみれになって死んでいく・・・。

県庁もとうに無く、知事は洞窟の暗がりで指示をするという始末・・・。

ガチで戦争を考える作品。
二度とこんなことはあってほしくないですが、
世界のどこかでは普通に起こっている・・・。
しんどいですね。

<WOWOW視聴にて>

「島守の塔」

2022年/日本/130分

監督:五十嵐匠

出演:萩原聖人、村上淳、吉岡里帆、池間夏海、榎本孝明

 

歴史発掘度★★★★☆

戦争の非道さ★★★★★

満足度★★★★☆


「清浄島」河﨑秋子

2023年10月07日 | 本(その他)

忌まわしい病があった島

 

 

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北の海に浮かぶ美しい孤島にキツネが運んだ寄生虫「エキノコックス」。
それは「呪い」と恐れられる病を生んだ。
未知の感染症に挑む、若き研究者の闘いが始まる――

直木賞候補作『絞め殺しの樹』で注目の著者による、
果てなき暗路に希望を灯す渾身の傑作長編

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礼文等島は、北海道でも私の憧れの地、花の浮島といわれる美しい島です。

こんな島にも、忌まわしい過去があって・・・。
私も聞いたことはあったのですが、詳しくは知りませんでした。
同じ北海道の話というのに、情けない。

 

昭和29年。
1人の青年が北海道立衛生研究所から派遣されて、礼文島にやって来ます。
この島に蔓延していると思われる「エキノコックス」の調査のため。

このときすでに、エキノコックスという寄生虫が起こす病の仕組みは解明されていました。
日本ではこの礼文島だけで起こるこの病の具体的な感染経路を突き止め、
それを予防するための処置を考えることが目的なのです。

やがて多くの研究員も派遣され、大がかりな調査が行われた上で
決定された重大な決断とは・・・!?

 

以前、この島で起こった山火事で森が丸裸となり、
新たに苗木を植えたところ、それが格好の餌となって野ネズミが急増。
これではいくら苗を植えても、木は育ちません。
そこで、狐をこの島に連れてきて、野ネズミを減らすことを考える・・・。
しかし、狐は大きな災いをもこの島に呼び込んだということのようです。

エキノコックス撲滅のために思い切った策がとられた礼文島。
それは10年以上もの時をかけてようやく終息宣言に至るのですが、
しかし、その時にはまた別ルートで
道東方面でエキノコックスが広まってしまっていた・・・。

 

つまりエキノコックスを宿していた狐というのは千島列島方面からやって来たらしいのです。
毛皮をとるために、そちらから狐を連れてきて繁殖させていた例があるし、
流氷で地続きになってしまう期間があって、
そこから狐が渡ってきたことも考えられる・・・。

礼文島という小さな範囲でできた対策も、広い北海道全体ではムリ・・・。

 

かくして、現在もエキノコックスの脅威はなくなっておらず、
私は散歩でキイチゴ類の実を見つけても、
写真は撮るけれど決して口にしないと決めている次第・・・。
(持って帰って加熱してジャムなどにすればOKですけどね。)

 

・・・というようなことは、本作の物語中で徐々に語られて行きます。
主人公、土橋がどのように閉鎖的な島の人々と交流していったのか、
そしてどのように憎まれつつも任務を果たしていったのかというようなことが、語られて行きます。

 

いつもながら、河﨑秋子さんの北海道に住む人々と動物や歴史・風土を絡めた物語、
北海道人としては知っておくべきことばかり。
とても興味深く読みました。

歴史短い北海道とは言え、すでに良くも悪くも様々な歴史が積み重なって
今に至っているのだなあ・・・と、今さらながら思います。

「清浄島」河﨑秋子 双葉社

満足度★★★★☆

 


近江商人、走る!

2023年10月06日 | 映画(あ行)

ビジネス時代劇

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江戸時代のお話です。

大津の米問屋・大善屋で丁稚奉公することになった銀次(上村侑)。
彼には思いのほか商才があり、通常の仕事はもちろん、
怪我をして働けなくなった大工を救済する方法を考え出したり、
閑古鳥が鳴く茶屋に客寄せのアイデアを出したり、
発想力とその人柄から、皆の信頼を得ています。
ある時、悪辣な奉行の罠で、大善屋が千両もの借金を背負わされてしまいます。

銀次は大津と15里(60キロ)離れた堂島の
米の価格差を利用した、裁定取引を思いつきます。
飛脚でも半日かかる距離、銀次はいかに情報を迅速に入手するのか・・・?

今なら、現場の地球の裏側でさえも一瞬で情報が届いてしまう。
そうでなかった時代の工夫の話です。

 

江戸時代の経済事情は思いのほか進んでいます。
先物取引をしていたのは日本が世界でも一番早い時期なのだとか。

そんな時期に、独自の商才を発揮させた男の物語。
なかなか興味深い。
それと絡むのが、大善屋で銀次の先輩として方向していた、蔵之介(森永悠希)。
彼は、大善屋と同業者の息子ですが、父親が奉行とグルになって大善屋を罠にかけたのでした。
そして蔵之介は、父から大善屋を潰す手助けをするようにと言われていたのです。
そのため心ならずも、銀次の計画の裏切り行為をしてしまう。

こうした、人間関係のヒリヒリ度も見所です。

そうそう、アイドルが歌って踊って、オタクたちが盛り上げる
などというシーンは、まあ、ご愛敬ではありますが、楽しかった!!

<Amazon prime videoにて>

「近江商人、走る!」

2022年/日本/114分

監督:三野龍一

脚本:望月辰

出演:上村侑、森永悠希、真飛聖、前野朋哉、田野優花、堀部圭亮

 

江戸時代の商売事情度★★★★☆

満足度★★★.5


BAD LANDS バッド・ランズ

2023年10月04日 | 映画(は行)

社会に抗え!

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安藤サクラさんと、山田涼介さんという異色のコンビネーション、
ちょっとワクワクしました。

大阪で特殊詐欺に手を染めるネリ(安藤サクラ)と弟のジョー(山田涼介)。
特殊詐欺グループの名簿屋という裏の顔を持つNPO法人理事長・高城(生瀬勝久)や、
幼い頃からネリをよく知る元ヤクザ・曼荼羅(宇崎竜童)らと関わりながら、
毎日をしのいでいます。
前科があって粗暴で考え無しの弟・ジョーは、ある時、賭博で大負け。
ネリが保証人になっていて、大金を急ぎ入手する必要が生じます。
そこで彼が考えついたのは・・・。

ネリとジョーに血のつながりはないのですが、
同じく孤独で煮詰まった人生という身の上故に、
互いを大事に思うようになったのでしょう。
ネリは、特殊詐欺の受け子のリーダーといった役柄。
まあ、今時歓迎すべかざる人々ではありますが、
「持たざるものが持つものから生きる糧をかすめ取る」
という信念に基づいてネリは行動します。
彼女を取り巻くのは明日の生活さえままならない底辺の人々。
キャップをかぶりはすっぱな物言いをする安藤サクラさんが
なんともカッコ良くて、魅力的です。

一方、背中に入れ墨のある前科者のサイコパス・・・
などというとんでもない役についた山田涼介さんですが
これがまた、悪くない。
きれいな顔してこういう役というのもまた、ツボですね。

結局二人は大きな罪を犯して、賭博の返金どころか、
億を超える価値のあるものを得ることになってしまうのですが・・・。

彼らがにぎったモノを現金化する必要があるのだけれどそのためにどうするか・・・
などと現実的な話も取り入れつつ、
裏社会でたくましく生き抜こうとする姿を頼もしく描いていきます。

血まみれですが、なんだか胸が躍る、魅力のある作品です。

<シネマフロンティアにて>

「BAD LANDS バッド・ランズ」

2023年/日本/143分

監督・脚本:原田眞人

原作:黒川博行

出演:安藤サクラ、山田涼介、生瀬勝久、江口のりこ、宇崎竜童、天童よしみ、前田航基

 

犯罪度★★★★☆

底辺度★★★★☆

満足度★★★★☆


87分の1の人生

2023年10月03日 | 映画(は行)

鉄道模型の平和な町

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アリソンは恋人ネイサンの姉夫婦を乗せて車を運転中
事故に遭い自身も酷い怪我を負ったものの、
同乗の二人を死なせてしまいました。

アリソンは自身が運転していたことと、
自分だけが生き残ってしまったことの罪悪感に耐えきれず、
恋人とは別れてしまいます。
そして怪我のため服用していた鎮痛剤の依存症となってしまい、
仕事に就かず実家で薬に溺れる日々・・・。
母に請われてようやくセラピーの集会に参加しますが、
そこで、ネイサンの父・ダニエルに会います。

ダニエルは、アルコール依存症のためにここへ来ていました。
もう10年ほども前にアルコールは断っていたのですが、
最近孫娘のことで悩みが多く、
ついアルコールに手を出しそうになっていたのです。

 

彼はあの事故で娘夫婦を亡くし、
残された娘・ライアン(つまり孫娘)を引き取り、育ててきました。
しかし、ライアンは反抗期の16歳。
両親を亡くした喪失感を抱えたままでもあります。
ダニエルは扱いに困って途方に暮れていたのです。

 

事故以来会ったことがないアリソンとダニエル。
仲良くはなれなさそうな関係ですが、
互いの悩みが引き寄せるのか、次第に心を接近させていきます。

 

 

一つの事故が、二つの家族の運命を全く壊してしまった・・・。
アリソンの責任もないとは言えないのですが、
それはもう、言っても、憎んでも仕方のないこと・・・。

 

アリソンの鎮痛剤の依存症というのは、つまりその鎮痛剤は麻薬と同じ成分なので、
すなわち麻薬中毒と同じ。
この薬は処方箋がないと買えないし、きちんとした病院ならもちろん、
依存症の危険性があるので、アリソンに対してはもうその薬の処方箋は出してくれません。

こうして起こる依存症というのもあるのですね・・・。

 

87分の1というのは、ダニエルが趣味で作っていた鉄道の模型のスケールのこと。
ダニエルは鉄道が走る街並みなども、緻密に創り上げています。

そして彼は言う。
この模型の町は、人々も皆穏やかで平和。
けれど現実はそうではない・・・と。

それは、本当はこの模型の町のように、穏やかで平和な生活を送りたい
ということの裏返しなのでしょう。

現実は苦しくつらいことばかり・・・。
彼女、彼らはどのようにこの困難を乗り越えていくのか・・・。

見応えのある作品でした。

 

 

「87分の1の人生」

2023年/アメリカ/128分

監督:ザック・ブラフ

出演:フローレンス・ビュー、モーガン・フリーマン、モリー・シャノン、チナザ・ウチェ、セレステ・オコナー

 

人生の困難度★★★★★

満足度★★★.5


ナイフをひねれば

2023年10月02日 | 本(ミステリ)

著者自身が殺人犯???

 

 

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「われわれの契約は、これで終わりだ」
探偵ホーソーンに、彼が主人公のミステリを書くのに耐えかねて、
わたし、作家のホロヴィッツはこう告げた。
その翌週、ロンドンで脚本を手がけた戯曲の公演が始まる。
いきなり酷評する劇評を目にして意気消沈するわたし。
ところがその劇評家が殺害されてしまう。
凶器はあろうことかわたしの短剣。
逮捕されたわたしには分かっていた。
自分を救えるのは、あの男だけだと。
〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズの新たな傑作登場!

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アンソニー・ホロヴィッツによる、〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ最新刊。
着々と新刊が出るのが嬉しいですね。

 

本巻では驚きの出来事が!

ホーソーンの事件簿的な本を書くのは3冊まで、
という当初の約束だったはずなので、
3冊目までのめどが付いた(実際にはすでに3冊出ています)ので、
もうこれ以上は書かない!!と、ホーソーンに宣言したホロヴィッツ。

そんな矢先、ホロヴィッツが脚本を手がけた戯曲の公演がロンドンで始まります。
しかし初日を終え、関係者一同はいきなりの酷評を目にしてしまいます。
すっかり意気消沈してしまったホロヴィッツ。

ところが、その酷評をした評論家が殺害され、
あろうことか、ホロヴィッツに殺人犯の疑いがかけられてしまうのです。

 

凶器はホロヴィッツの短剣。
アリバイを証明できる者もいない・・・。

逮捕される寸前にホロヴィッツは逃走、ホーソーンを頼りにすることに。
実のところ、ホーソーンが本当に力になってくれるかどうかも
心配ではあったのですが・・・。

 

・・・ということで、今回二人はタイムリミットありの、
かなり切実な調査をすることになります。

相変わらず親しみを見せず、つっけんどんな態度のホーソーンではありますが、
でもきっと頼りになる、ということはこれまでのことで分かっております。

そんな中でもほんの少しずつ、ホーソーンの秘められた人生の一端を垣間見る・・・。

 

著者自身が殺人犯の疑いをかけられて窮地に立たされる。
さぞかし、著者も楽しんでこれを書いているのでしょうね。

ホーソンとホロヴィッツ、この腐れ縁は、まだまだ断たれませんね。

 

「ナイフをひねれば」アンソニー・ホロヴィッツ 創元推理文庫

満足度★★★★☆

 

 


神在月のこども

2023年10月01日 | 映画(か行)

今時の少女は凜々しくあってほしい

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毎年10月、日本全国の神々が出雲に集い、翌年の縁を結ぶ会議を行う、
といういわれを題材としたアニメです。

母を亡くして間もない少女、カンナ。
好きだった走ることと向き合えなくなり、鬱々とした毎日を送っています。
ある時、母の形見である勾玉の形をしたアクセサリに手を通すと、
カンナの前に神の使いであるうさぎ・シロが現れ、
人々と神々との境界をまたぐ壮大な旅へと誘います。
全国から神々が姿を消す神無月(10月)に、
神々を迎えてまつる「神在月」の出雲を目指すのです。
始め敵対していた鬼の少年・夜叉もなぜか同行することに。
カンナはこの旅を成功させることができるのか・・・?

降り出した雨の雨粒が静止。
時が止まった?と思ったら、静止ではなくて、
非常にゆっくりになったというところが興味深い。

カンナは、この非常にゆっくりの時の中、
走って東京から出雲まで行かなければならないのです。
ということなので、これにはタイムリミットがあるのです。

途中、様々な神社の神々から、出雲に集まる神々へのご馳走をもらい受けて
届けなければなりません。
実はこの仕事は長くカンナの母が務めていたのでした。
だから母譲りの「走る」ことへのこだわりが、
母の死で、逆にカンナを苦しめることになってしまっていたわけ。
こうした設定や神々の造形がユニークで、とても楽しめました。

だがしかし、です。

この少女カンナが、どうにもぐだぐだのダメなヤツで、魅力が薄い・・・。
最後に覚醒してことをやり遂げることは、まあ、予想が付いている。
けれど終盤、本当に最後の最後の直前まで、やる気がなく、後ろ向き。
カンナは自分の使命よりも、出雲に行けば亡き母と会うことができるかも知れない
ということだけを目的に旅を始めていたのです。
こうした期間が長すぎて、なんだか共感が持てず、好きになれませんでした。

気を持たせるにも限度というものがあるでしょう。

ということで、ちょっと残念なできだったのでは・・・?

 

<WOWOW視聴にて>

「神在月のこども」

2021年/日本/99分

監督:白井孝奈

原作:四戸俊成

出演(声):蒔田彩珠、坂本真綾、入野自由、柴崎コウ、井浦新

 

物語背景のユニーク度★★★★☆

満足度★★.5