終わりましたよ、『キル』。無事って言っていいのかな?まあ、大きな失敗もなく、けが人もなく、装置もそれなりに機能して、観客の評価はおおむね良好なので、無事!と言えるだろうな。
このところ、置農演劇部にしろ菜の花座にしろ、綱渡り的な公演が続いているけど、今回は中でも格別だった。逆立ちして片手で綱渡りしたようなもんだった。なんせ、ゲネプロやってないんだから!ウソだろ?信じられない!ほんと信じられないよ、僕も!
まず装置の仕込みが5日の夕方から。舞台スタッフさんいないので、自分たちでパンチを舞台全面に張り、平台を組んで持ち込みのスロープを乗せて、間口一間、奥行き3間、2尺1寸上がりのスロープを上下に二組設置。翌6日(本番前日)の仕込みは照明だけになったから、ささっと行ちゃって後はみっちり色作り、と、バンバン行こうぜ!一年生に照明の説明なんかしたりして、余裕で始まった仕込みだったけど、思惑はあっけなく崩れさった。だって、照明いじれるスタッフ一人なんだもの!そりゃないぜ!
担当のSさんは、調光室に上がり、ピンルームに駆け上がり、介錯棒で灯体を振り回しと、夢中で走り回って奮闘してくれたけど、いかんせん一人じゃ!その間、間口やタッパを決めたり、吊りものの布つったりなんて仕事があって、結局、色作りに入ったのは、なんと、4時!
さあ、頑張ってやるしかないよぉなんせ、90シーンだからね。照明のタカヒロは初めての色作り、補助のチアキは一年生、調光室そのものが初めてっていう新米コンビだ。で、ゲネをやるとしたら、なんとしても7時スタートだろうし、事前に音響のリハも必要だし、場転練習もしておかなくちゃならない。ということは、夕食休憩を30分に切りつめたとしても、5時半には色作りを終えなくちゃならない。ワンシーン1分!ゼーッタイ不可能!フエーダー表作ってはあるけど、布に当てる色具合なんて、見てみなくちゃ雰囲気つかめないから。
案の定、初っぱなから、ミスの連発。シーンをとばして記憶して、何が何やらわからんという大混乱!僕も焦ってる。タカヒロはさらにいっぱいいっぱいだろう。最初は舞台に人立たせて明かりの届き具合などチェックしながら進めていたが、最初の10シーンで、もはや、断念!あとは、勘を頼りの当てずっぽでバシバシと進めた。いやーあ!多いよ、90シーンは!!
結局、照明終了午後7時!さあ、どうする?!音合わせなんてとても時間がとれない。場転の練習も、したいのはやまやまだけど、・・・うーーん!決断!全員を舞台上に集めて、ともかく、ぶっつけでゲネプロをやる。音のレベルはその都度インカムで指示を出す。場転は、スタッフキャスト全員で必死で考えてなんとかやりくりする。これまでやってきたことですべてなんとかやりきってみろ!!って無茶だよ!できっこないよ!って思ってんのは僕だけ。誰も泣き事言わないところが、置農演劇部の凄いところだ。8時スタート、9時45分、最後の10数ページ分を残して、時間終了。後は、翌日、つまり本番の午前中にやることにして、解散。
さて、本番当日、できれば、残り20分程度をさっさか終わらせて、通しができれば!なんて、甘い期待を抱きつつ始めたゲネの続きだったが、とんでもねえ!!ものの出はけが大混乱。何を出すのか、誰が出すのか、いつ出すのか、もう、しっちゃかめっちゃか。さらに弱ったの二連発。ラストシーンの青空の大布も、大きすぎて、舞台上で舞わない!しかも、出の位置が計画通りいかないことも判明。さあ、どうするどうする。こういうとき生徒ってほんと空気読めないんだよな、僕がぎりぎりの所で悩んでるっていうのに、布が破けたあ!なんて、そこから手出したりしてるし、舞わない布の下で、ずっとじっとしてんすか?なんて、聞くなよ!そんなことないだろう、そうならないように考えてんじゃねえか!
決断!せっかく作った6間四方の大布だったが、横1間半、縦1間を切り捨てろ!もたつく生徒からはさみを取り上げて、一気に切り裂く。さあ、どうだ、舞わせてみろ!そうじゃない!全身使って四人でリズム合わせて!なんとかうまく行った。次は、ものの出ハケ。舞台監督のシュウヘイに全員集めされて、一つ一つ、役割を確認させた。よし、やってみよう!ということで、ラスト20分をやり直していたら、なんと、12時を回っていた。公演開始まで残り45分!さてさて、本番やいかに?!で、つづく。