ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

なんか新しいことやりたいじゃないか

2014-06-01 21:48:51 | 演劇
 オリジナリティ、あるかなぁ?作る舞台、作る芝居、どっかで見たような気がして仕方ない。例えば、前回公演の『山棲』。一番評判の高かった、兵役拒否する夫と妻の話、あれってこれまでいろんな人が書いてきた情景のような気がする。もちろん、役者は必死に演じて観客の胸に迫る素晴らしいシーンになったのだけれど、あのシナリオの独創性は?と問われれば、絶対僕のものとは言い切れない。山童の造形にしても、新感線や野田秀樹からの借り物のような気がしないでもない。まっ、芸術的創造性なんてものは90%過去のむし直しだって意見もあったからあまり気に病む必要もないのかも知れない。が、オリジナルでありたい!台本が無理なら、装置でも衣装でも音楽でも照明でもなんでもいい。これは、今までないよなぁって奴をぶちかましたいと思っているんだ。

 どんなに手慣れた設定でもお得意の展開でもどこかに、これ普通ないでしょ!ってものを仕込んできたつもりだ。『山棲』で言えば、山棲みたちの時代超越性とか、常に佇立する布の山とか、アボリジニーの音楽とか。たとえ観客には気付いてもらえなくても、たとえ、観客の評価は低くても、これはオリジナルだからって密かに胸を張っていたい。

 脚本を書き始める時、これが壁になる。なんかしら、これだ!ってものが閃かないと書き始められない。ストーリーが出来、キャラクターが固まってきても、これぞオリジナル!と納得できないとパソコンには向かえない。ノートを前にひたすら悶々することになる。

 で、次回公演『Good Night Baby』の場合、一つはシニア女優6人が山本リンダを歌い踊るという設定ともう一つ、舞台にダンスホールのフロアを再現するということだ。白と黒チェック柄のフロアを作る、それも正方形や長方形ではなく、変形のダイヤ形のものを。

 ご存知のとおり、舞台では平台と箱足、高足というものを組み合わせて各種高さのある平面を作る。平台は3尺×6尺、4尺×6尺、6尺×6尺の三種類が基本で、高さはみな4寸となっている。上面の形は長方形ないし正方形だ。どんな台だろうと特注で作ってしまうプロ劇団ならいざ知らず、劇場の備品でやりくりせねばならぬアマチュア劇団となるとこの平台の形に大きく制約されることになる。どうしたって角は直角だし、各辺は直線だ。これを利用しつつなんとか変わった舞台空間を仕組もうとしてきたが、せいぜいが斜めに置いたりする程度で、これは面白いという置き方は難しい。今回はそこに挑戦した。

 直線と直角は仕方ないとして、この直角部分を客席に向き合うように設置する。そこに上下に平台を繋げていき、最後は尻をすぼめてダイヤのような形を作りたいと思った。そこで問題となるのが、舞台奧部分が一直線にならないということだった。長方形と正方形だけではどうしても最後半端な三角形部分ができてしまうのだ。

 そんじゃ作っちゃえ!三角形の平台!ってことで、この通り。



 Photo


 これを問題の部分に嵌めこむと、




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 結局直角二等辺三角形の平台を6台作って土台は完成。今度は白黒チェック柄だ。つやつやとしたリノリューム貼りのようなフロアにしたい。さあ、あなたならどうする?






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 厚手のビニールシート、食卓などに使うやつ、あれの裏面に白と黒の厚紙を交互に貼ってそれを裏返しにすると、見事、チェス盤のようなチェック柄が完成!おめでとう!やったぁ!達成感一杯の完成の瞬間だった。



 


Photo_4


 白黒モザイクのフロア、プロなら造作ないことだろうけど、これを限られた資財で手作りするとなると、これはなかなかの知恵と根気が求められるのだ。その工夫と実現に向けた努力、そこには間違いなくオリジナリティがある。

 他にもリンダの衣装も6着すべて各自手作り。これもこの世で初の試みだろう。白黒チェック柄のフロアで、6色の艶やかな衣装をまとったリンダたちが歌い踊る。どうだろう、これならオリジナルってちょっとは胸張ってもいいんじゃないかな。


 




コメント
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