3月24日の、「義務教育学校」で取り上げた改正案には、こんなことも含まれている。
「高校卒業後、より専門的な知識を学ぶ高校専攻科で、2年以上学んだ生徒は、大学に編入学できる制度」を新設すること。
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現行の学校教育法には以下の条文がある。
第五十八条 高等学校には、専攻科及び別科を置くことができる。
○2 高等学校の専攻科は、高等学校若しくはこれに準ずる学校若しくは中等教育学校を卒業した者又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者に対して、精深な程度において、特別の事項を教授し、その研究を指導することを目的とし、その修業年限は、一年以上とする。
○3 (略)
ここに以下の条文を加える。
第五十八条の二
高等学校の専攻科の課程(修業年限が二年以上であることその他の文部科学大臣の定める基準を満たすものに限る。)を修了した者(第九十条第一項に規定する者に限る。)は、文部科学大臣の定めるところにより、大学に編入学することができる。
学校教育法第九十条第一項には、大学に入学できる者が規定されている。
第九十条 大学に入学することのできる者は、高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者若しくは通常の課程による十二年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。)又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者とする。
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大学「入学」とは、第1学年(初年度)の学生になることをいい、「編入学」とは、通常、それ以外の学年の学生として、大学生になることである。いわゆる633で12年である。2年の専攻科まで修了すると、14年である。14年でも「入学」はできるが、「編入学」ではない。
入学年度から専門教養を学ぶこともめずらしくなくなった大学教育課程。専攻科である程度それらを学習した者(既修者)が、最初から勉強しなおすことをさけるための制度新設と見ていい。本県では埼玉県立常盤高校*(高校3年、専攻科2年)修了生が適用をうけることが可能である。 同校ウェブサイトによれば、平成26年3月卒業生(修了生)の平成25年度看護師国家試験の合格率は100パーセント。1名が保健師学校、2名が助産師学校へ進学。それ以外は全て病院への就職が決定とのこと。
制度を新設しても、大学に編入する例は少ないかもしれない。でも、多様な学びのルートができることはいいことである。
なお、高等専門学校(5年制高専)卒業生は、以下により大学に「編入学」できる。
百二十二条 高等専門学校を卒業した者は、文部科学大臣の定めるところにより、大学に編入学することができる。
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*埼玉県立常盤高等学校は、看護科3年・看護専攻科2年の5年一貫教育の学校である。 同校は平成26年度に、文部科学省からスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)事業実施校として指定を受け、「5年一貫教育の特徴を生かした、看護専門職者を育成するための先進的なプログラムの研究開発」に取り組んでいる。(「県教委だより」2015-03-20,685号による) 平成26年度のSPH指定校は全国で10校。看護分野は同校のみ。指定期間は5年間である。 |