『この業界に私と顔が似てて、ちょっと小さくて、めちゃめちゃ制服が似合う子いるんで。
これはある女優さんのお姉さんが、この作品の主演である自分の妹について述べた言葉である。
『〇〇〇〇史上、最強にかわいい映画が出来たと思います!
これはその映画の主演女優について、共演者が述べた言葉である。
そこまで言うのであれば、見ようということになった。11月1本目は『先生! 、、、好きになってもいいですか?』である。
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恋愛に見向きもせず部活に熱中してきた高校生の島田響(広瀬すず)は、一見無愛想だが生徒思いな世界史の教師・伊藤貢作(生田斗真)に生まれて初めての恋をする。
いちずな思いをぶつけるように告白する響だが、伊藤は自らの気持ちに気付きながらも、教師という立場から相手にしない。不器用な二人の恋は。(AEON Cinemaの作品紹介)
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伊藤貢作役の生田斗真さんが、『広瀬すず史上、最強にかわいい』といっていた、響役の広瀬すずさん。僕はかわいいというよりも、「はかない」「せつない」という言葉がうかんだ。
彼女はこれまでの出演作では、明るく元気で頑張り屋さん的なキャラクター、つらいことを隠して頑張る女の子を演じることが多かったと思う。何となくだが「海街」や「四月は君の嘘」等のイメージの方が、「ちはやふる」「チアダン」のような作品で演じたキャラクターよりも、印象に残るのだ。でも本作の響は違う。響はいかにも幼い、まっすぐすぎる真面目な高校生である。その響が、訳知りな大人、伊藤先生への気持ちに振り回される。
『先生。聞きたいことがあるんです。
・・・好きになってもいい?
響は混乱している。まっすぐすぎる真面目さに直撃された伊藤先生は大変である。響の思いが伝わるだけに、それは伊藤先生を振りまわす。でも、
『俺はやめとけ。
俺が教師で、
おまえが生徒だからだ。---以上。
なのである。響は悩み、落ち込み、泣く。でも、伊藤先生も揺れる。その揺れがものがたりを動かしていく。
----- 以下、雑感 -----
『おまえ、どうするんだよ。
伊藤先生への現職教師である僕の心の声である。
ものがたりの登場人物に「声をかけてしまう」作品は、没入できないものすごくダメな作品か、フィクションであっても、どこかが現実世界とシンクロしている作品である。感性にガリガリと傷を負わせる作品である。本作は「ガリガリ」である。
美術科教師の比嘉愛未さんがいい。
森川葵さんのお芝居は初めて見た。「おんなのこきらい」の予告編を見てから、いつかスクリーンで見たいと考えていた。少しイメージが違った。
途中からエンディングはどうなるのかと、と考えている自分に気がついた。ものがたりはゆっくり流れ、大きなひねりはなく、誰かが不幸になることもなく、いちおうのハッピーエンド。なんだかほっとした。王道(?)のラブストーリーという感じ。
上映が終わり周りを見ると、当たり前だが中高学生が多かったように思う。
大人には、やや「青春」が眩しすぎる作品かもしれない。映画評論などを見ると、広瀬すずありきの作品というものもある。
・・・でも、それはそれですごいことだろう。
何となく感じたことなのだが、学校の描き方が20年くらい前の感じがした。何がどうという明確な説明はできないのだが、現在の高校より、ちょっと前の高校のようなイメージである。
舞台は明示されていないが、岡山県であることは路面電車を見ればわかる。その県立南高校は、戦前からの伝統を受け継ぐ学校のようだ。(ラストシーンで第81回卒業式とでていた。)
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エンディングテーマはスピッツ「歌ウサギ」である。これは、ものすごくいい。
文中一部敬称略。
三つ半かな。