見返りは我が子の合格
文部科学省の私立大学支援事業にからみ、有利な取り計らいをする見返りに、我が子を入試で合格させてもらったとして、東京地検特捜部は4日、文科省科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者(58)=東京都港区=を受託収賄容疑で逮捕し、発表した。
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何とも...汚職である。
できの悪い時代劇のようだ。
ニュースを聞いて、一番最初に、そんな言葉が浮かんだ。
文部科学省本省には文部科学大臣1名、副大臣2名、政務官2名の政治家5名がいる。事務方として、事務次官をトップに、次に文部科学審議官(「文部科学審議官は、命を受けて、文部科学省の所掌事務に係る重要な政策に関する事務を総括整理する。」,文部科学省設置法第5条第2項)が2名。その下に政策分野でたばねた局が6ある。今回逮捕されたのは、文部科学省本省に6人しかいない局長の1人である。
なお、文部科学省本省(いわゆる内局)には、他に大臣官房があり、その責任者は官房長である。大臣官房は人事、総務、会計等を所掌する。報道されている範囲内だが、この逮捕されたこの人物は前職が官房長とのことだ。
官房長だった’17年5月、私立大学の関係者から文部科学省の私立大学支援事業の対象校に選定するよう依頼され、その見返りに今年2月、「子」がこの大学を受験時、点数を上乗してもらい、合格させた疑いとのこと。
繰り返しになるが、文部科学省の局長は、文部科学事務次官、文部科学審議官の次である。世間で感じているよりも、ず~っと「エライ」のだ。その人が自分の子を、東京医科大学に入学させてもらっていた。
・・・何ですかこれは。
点数を上乗せできる人物はだれだろう。
仲介者が存在するようだが、大学の入学者選抜に影響力が及ぼせる人物とつながりがあることになる。文部科学省の局長クラスに「頼みごと」が可能な人物。東京医科大学の内側の人か否か。
どう考えてもインサイダー。それも相当上の方だろう。
+++++ ここまでは、7月4日に書いたこと +++++
佐野局長は4日付で局長職を解任され、大臣官房付になった。
逮捕を受け、林芳正文科相は「現職の職員が逮捕されたことは誠に遺憾。」と述べたようだが、この人物は「現職の職員」という表現でおさまらない。そんな小者ではない。
なお、当初は一部新聞は「子」と報道していたが、男性であることが判明している。
点数を上乗せできる人物が5日の午後には報道され始めた。読売によれば、学校法人東京医科大学理事長と同大学長が、佐野容疑者の息子を同大に合格させるよう学内に指示していたとのこと。実名報道である。
+++++ ここまでは、7月5日に書いたこと +++++
将来の事務次官候補
エース中のエース
前局長はこんな言われ方をしていたようだ。
候補は所詮候補。官房長を含めて7人の内の1人。科学技術分野に限定しても3人の内の1人。その上には科学技術担当の文部科学審議官がいる。将来の事務次官候補といえども、やっぱり候補。候補がこんなことでルートから転げ落ちるとは。
エース中のエース?
エースがこんなことで転けるものか。
6日、学校法人東京医科大学の理事長と同大学長が辞表提出。辞任。
+++++ ここまでは、7月6日に書いたこと +++++
東京医科大学の行岡哲男常務理事が6日夜、記者会見を開き、『佐野前局長の息子が不正に合格したとすれば(合格ラインに達しながら)不合格になった受験生がいることになる。今後、息子が加点により合格していたことが確認されれば、不合格となった本来の合格者の救済策を検討する。』と述べた。
・・・そうなるだろう。
+++++ ここまでは、7月7日に書いたこと +++++
1次試験から点数加算
前局長の息子、合格点に届かず
1次試験から加算されていた。
1次試験を通過しないと、2次試験には進めない。
・・・そんなニュースが流れていた。
昨年度の入試形態を見ると、昨年の入試はこうである。
1次試験:3教科(400点満点)
出題範囲
数学(100点)
数学I・数学A・数学II・数学B(数列・ベクトル)・数学III
理科(200点)
物理基礎・物理、化学基礎・化学、生物基礎・生物から2科目
外国語(100点)
コミュニケーション英語I、コミュニケーション英語II
今年の2月の入試は、全問マークシート形式のようだ。データの改ざんはしようと思えばできる。2次試験は「小論文」と「面接」である。この部分の評価も含めて操作されていたとしたら、かなり合格には遠い受験生となる。
+++++ ここまでは7月8日に書いたこと +++++
ブランディング事業の助成金は返却だろうか。私学助成も影響が出ることは予測できる。
まだまだ大変である。注目・注視が必要である。