過去幾度か取り上げている、東京都23区内における大学の定員増を伴う新増設を禁止する根拠法規である。
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(目的)
第一条
この法律は、我が国における急速な少子化の進行及び地域の若者の著しい減少により地域の活力が低下していることに鑑み、地域における大学(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学をいう。以下同じ。)の振興及び若者の雇用機会の創出のための措置を講ずることにより、地域における若者の修学及び就業を促進し、もって地域の活力の向上及び持続的発展を図ることを目的とする。
第十三条
大学の設置者又は大学を設置しようとする者は、特定地域外の地域における若者の修学及び就業を促進するため、特定地域内における大学の学部の設置、特定地域外から特定地域内への大学の学部の移転その他の方法により、特定地域内学部収容定員(特定地域内に校舎が所在する大学の学部の学生の収容定員のうち、当該校舎で授業を受ける学生に係るものとして政令で定めるところにより算定した収容定員をいう。以下この条及び附則第三条において同じ。)を増加させてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 特定地域内に設置している学部等(大学の学部、高等専門学校の学科又は専修学校の専門課程をいう。以下この号において同じ。)の廃止、特定地域内から特定地域外への学部等の移転その他の方法により特定地域内学部等収容定員(特定地域内に校舎が所在する学部等の学生等(大学の学部若しくは高等専門学校の学科の学生又は専修学校の専門課程の生徒をいう。以下この号において同じ。)の収容定員のうち、当該校舎で授業を受ける学生等に係るものとして政令で定めるところにより算定した収容定員をいう。以下この号及び次号において同じ。)を減少させることと併せて、政令で定めるところにより、当該学部等を置く大学、高等専門学校又は専修学校の設置者(同号において「大学等の設置者」という。)が当該減少させる特定地域内学部等収容定員の数を考慮して政令で定めるところにより算定した数の範囲内で特定地域内学部収容定員を増加させる場合
二 前号に規定する方法により特定地域内学部等収容定員を減少させる大学等の設置者との協議に基づき、当該特定地域内学部等収容定員の減少と併せて、政令で定めるところにより、当該大学等の設置者とは異なる大学の設置者又は大学を設置しようとする者が当該減少させる特定地域内学部等収容定員の数を考慮して政令で定めるところにより算定した数の範囲内で特定地域内学部収容定員を増加させる場合
三 大学における教育研究の国際競争力の向上、実践的な教育研究の充実その他の教育研究の質的向上を図るために外国人留学生又は就業者である学生に限定して特定地域内学部収容定員を増加させる場合その他の特定地域内学部収容定員を増加させることが特定地域以外の地域における若者の著しい減少を助長するおそれが少ないものとして政令で定める場合
附則抄
(施行期日)
第一条
この法律は、平成三十年四月一日又はこの法律の公布の日のいずれか遅い日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第十三条及び第十四条並びに次条及び附則第三条(第二号に係る部分を除く。)の規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日
二 附則第三条(第二号に係る部分に限る。)及び第五条第一項の規定 平成三十一年四月一日
(失効)
第二条
第十三条及び第十四条の規定は、平成四十年三月三十一日限り、その効力を失う。(経過措置)
第三条
第十三条の規定は、次に掲げる場合において、特定地域内学部収容定員を増加させるときは、適用しない。
一 平成三十一年三月三十一日までに、特定地域内における大学の学部の設置その他の政令で定める事項について、学校教育法第四条第一項の規定による文部科学大臣の認可(次号において「認可」という。)を受けた場合
二 平成三十六年三月三十一日までに、特定地域内における専門職大学(学校教育法第八十三条の二第一項の専門職大学をいう。)若しくは専門職短期大学(同法第百八条第四項の専門職短期大学をいう。)又はこれらに準ずるものとして政令で定めるもの(附則第五条第一項において「専門職大学等」という。)の設置その他の政令で定める事項について認可を受けた場合
三 附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日までに、特定地域外から特定地域内への大学の学部の移転その他の政令で定める事項について、政令で定めるところにより、文部科学大臣への届出を行った場合
四 前三号に掲げる場合のほか、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の際現に特定地域内における大学の学部の設置、特定地域外から特定地域内への大学の学部の移転その他の方法により特定地域内学部収容定員を増加させるために必要な校舎その他の施設又は設備の設置又は整備に関し政令で定める相当程度の準備が行われている場合
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赤字、下線、太字、網掛けは僕がつけたものだ。
かなりわかりにくい。この法律の概要のリーフレットには以下のように書かれている。
(2)特定地域内の大学等の学生の収容定員の抑制【第13条関係】 |
政令第百七十七号として、「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律第五条第三項の特定地域を定める政令」が出ている。これにより、法律第五条第三項の政令で定める地域は、東京都の特別区の存する区域とする。」と規定された。(政令第一条)
なお同政令第五条には以下の規定がある。読んでみると、何か解釈によりいろいろ「余地」があるように思える。
・・・法律にしろうとの僕だけだろうか。
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第五条
*法第十三条第三号の政令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者である学生に限定して特定地域内学部収容定員を増加させる場合
二 就業者である学生に限定して特定地域内学部収容定員を増加させる場合として内閣府令・文部科学省令で定める場合
三 大学の学部の学科又は短期大学の学科について、その修業年限を延長することと併せて、その特定地域内学部収容定員の数を特定年次の年数で除して得た数に当該延長する修業年限の年数を乗じて得た数の範囲内で特定地域内学部収容定員を増加させる場合
四 前三号に掲げる場合に準ずる場合として内閣府令・文部科学省令で定める場合
*法:タイトルの法律のこと。
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’17-09-19に「私大定員抑制方針撤回を」で取り上げた「工業(場)等制限法」による規制について、僕はこんなことを書いている。
真に一極集中を解消することを目指すのならば、中央省庁・民間企業本社機能を東京23区外に移動させ、就職により東京23区に転入する新規採用者数に制限をかける方が効果的ではないか。それができないから大学に規制をかける。それが透けて見えるから、不自然さ理不尽を感じるのだ。
過去の規制による「現在の東京の状態」を失敗と見なすのか、したからこそ「現在の東京の状況」でとどまっており、規制は成功と見なすのか。いずれにしても、大学の設置等を規制に加えるのは、東京への一極集中を抑える or さけることに資するとは思えない。
やはり今回の規制も、「失敗」すると思う。