全英連参加者のブログ

全英連参加者の、言葉やその他諸々についての雑感... 不定期更新です。

恋する寄生虫を見てきました。

2021-11-27 04:00:00 | 全英連参加者 2021
「恋する寄生虫」ポスタービジュアル①  ひどい潔癖症により人と接することができず孤独な青年・高坂賢吾(林遣都)は、視線恐怖症で不登校の女子高生・佐薙ひじり(小松菜奈)の面倒を見ることになる。佐薙の露悪的な態度に困惑する高坂だったが、それが弱さを隠すためのものだと気付き親近感を抱く。クリスマスに手をつないで歩くことを目標に「リハビリ」を始めた二人は次第に惹かれ合い、初めての恋に落ちるが...

 原作、未読なのだ。 まっさらの状態で見た。

 脳に寄生するもの(寄生虫)によって、思考が支配されることがあるというものがたり世界。何より印象的なのは、そこでの堅吾とひじりの重苦しい生き様だと思う。

 ある男から脅され、堅吾はひじりの面倒を見ることになる。彼は幼い頃両親の自死を目撃、以降極端な潔癖症が原因で、社会との関係が保てない。自分は社会から拒絶され、存在価値のないものと信じている。
 堅吾が面倒を見ることになるひじりにも、視線恐怖症という心の病がある。周囲とのコミュニケーションが取れず、視線を避ける=外界からの情報を遮断する=ためにヘッドセットをかけている。2人はそれぞれかかえる問題は違うが、社会との関係、対人関係が構築できない点で、共通する部分がある。少しずつそれぞれのつらさを理解し、惹かれ合うようになる2人。だが2人の恋は本当に2人の心からのものか、それとも寄生虫がパートナーを求める行為によるものか。2人の接近にはひじりの祖父の思惑(計画)がひそんでいた。
 こんな世界観になじむまで少々時間かかりました。後は劇場で...

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 高坂堅吾 Starring 林遣都
 フィルモグラフィーを見ると、主演作も多くかなりの作品数。でも、大きなスクリーンで見るのは今回が最初。TVドラマの出演は映画よりも多い。見た記憶はないけど、名前と顔が一致する。不思議な感じ。
 堅吾の潔癖症の苦しさを、観客に体感させるようなお芝居だと思う。ホントに病んでいる感じがした。手の汚れの幻影に苛まれ、必死で手を洗うところは、かなりホラーだと感じた。その堅吾がひじりとの交流で徐々に変化していく。
 現実世界がコロナ禍でマスク姿が当たり前の世の状況、潔癖症のためマスクをする堅吾のキャラクターが、目立たないのは気の毒な感じ。

 佐薙ひじり Starring 小松菜奈
 公開記念舞台挨拶で「25歳で制服姿は正直きつい。見納めかな」と、コメントしていた。彼女の出演する映画を見るのはこれで何本目になるだろう。
 視線恐怖症の女子高生役。本人が言うほど高校生役は違和感がないと思う。小松さんは、現役女子高生の頃の作品から、顔の感じがあまり変わらない希有な女優さん。年齢と共に顔つきも体つきも、人間は変わるものだが、彼女は顔の印象があまり変わらない。
 ひじりは自分の母親が自死したこともあり、自分も同じ運命をたどるものとあきらめている。その世を棄てた生き様、ふるまいから放たれる彼女の苦しさが、見る者に押し寄せてくる。
 ひじりはひったくりにあい、ヘッドセットを奪われ、パニックになり、堅吾に助けを求める。そのあたりから、堅吾との距離がグッと近くなる。ひじりは自分が堅吾を好きであることを自覚する。その思いが叶わないことの苦しさを、必死にこらえる様子。そして感情の爆発。ああ小松菜奈はいい役者だな、すごいと感じた。

「恋する寄生虫」ポスタービジュアル バナータイプ

 原作は大事。でも、映像化されたことにより、たくさんの人が見る。(おそらく)評価は12か45でふれると思う。でも僕は、堅吾とひじりの世界に「没入」することが大切と思う。

 閉園した豊島園がでていた。
 場所が分からないが、まっすぐな木ばかりの林。どこだろう。

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 文中一部敬称略


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