8月28日MSNの記事である。
中教審は28日の総会で、新卒者の教員免許を2種類にし、正規教員として教えるには原則、大学院修了を要件とする制度を創設するよう平野博文文部科学相に答申した。
文科省は、カリキュラムや取得条件などの具体的な制度設計に着手。 受け皿となる教職大学院の拡充を推進する方針。 |
受け皿が教職大学院だけになるのは、間違いだ。絶対数が足りない。多様な大学の大学院にも、教員養成を担わせなければならない。教職大学院の生き残りのため、制度設計をするのでは意味がない。
現在は『教職大学院を修了しても、教員採用で優遇されないなどメリットが薄いため定員割れの教職大学院も多く、実現には課題が残されている。』と記事にもあったが、そもそも教職大学院の制度設計は一般教員(普通に先生をする人)の養成をメインにしてはいないのではなかったか。
教職大学院とは(文科省サイトより) 近年の社会の大きな変動の中、様々な専門的職種や領域において、大学院段階で養成されるより高度な専門的職業能力を備えた人材が求められています。 教員養成の分野についても、子どもたちの学ぶ意欲の低下や社会意識・自立心の低下、社会性の不足、いじめや不登校などの深刻な状況など学校教育の抱える課題の複雑・多様化する中で、こうした変化や諸課題に対応しうる高度な専門性と豊かな人間性・社会性を備えた力量ある教員が求められてきています。このため、教員養成教育の改善・充実を図るべく、高度専門職業人養成としての教員養成に特化した専門職大学院としての枠組み、すなわち「教職大学院」制度が創設されました。 教職大学院は、学部段階での資質能力を修得した者の中から、さらにより実践的な指導力・展開力を備え、新しい学校づくりの有力な一員となり得る新人教員の養成、現職教員を対象に、地域や学校における指導的役割を果たし得る教員等として不可欠な確かな指導理論と優れた実践力・応用力を備えたスクールリーダー(中核的中堅教員)の養成の2つを主な目的・機能としています。また、実践的指導力の育成に特化した教育内容、事例研究や模擬授業など効果的な教育方法、これらの指導を行うにふさわしい指導体制など、力量ある教員の養成のためのモデルを制度的に提示することにより、学部段階及び修士課程など他の教職課程に対してより効果的な教員養成のための取組を促すことが期待されています。 |
教職大学院は、赤字部分ばかりが世の中に伝わってしまった印象がある。しかしながら、どう考えても、それよりも必要なのは青字部分である。そして、その機能は教職大学院での学びでなくても、一般の大学院において、科目指導や、生徒指導ををテーマに修士課程を修了するのでも、問題はないはずだ。
教職大学院への過度な期待は問題を見えにくくする。
新制度:
大学4年に加えて大学院で1~2年学んで取得できる免許を「一般免許」と規定。
・・・現在は修了年限は原則2年である。
大学院では教育実習中心で指導力を養い、情報通信技術の活用など新しい指導法も学ぶ。
・・・現在の教職大学院の役割のうち、新たに先生になる人間の育成に特化することになるのか。
大卒だけで得られるのは「基礎免許」とし、担任をせずに授業補助などに役割を限る案もあるが、仕事の範囲は今後の検討課題とした。
中堅教員が大学院で学び直し、生徒指導や教科指導で高い専門性を身に付けて得られる「専門免許」も設ける。
まだまだ具体化への制度設計に時間がかかりそうだ。そして、かけるべきだ。特に下線部の制度設計、充実を真剣に考えるべきである。また、教員免許更新制度との関連も整理すべきなのは言うまでもない。僕が現役教員の間に制度が変わることは、まずないと思われるが、要注目である。