【4日のニュース】
「大学設置認可の在り方の見直しに関する検討会」が4日、大学新設の審査基準について、学生確保の見通しなどを明確にすることなどを求めた報告書を下村文科相に提出。
YOMIURI ONLINE他がこのことを取りあげていたので、記事を読んでみた。以下のようなことが提言されているようだ。
〈1〉設置構想について理事長や学長予定者に説明を求める。
〈2〉自治体から大学への期待や連携に関する考えを聴取する。
記事によれば、『文科省は早ければ2014年度開校をめざす大学の審査から適用する』とあった。のんびりしていると、平成25年度申請(平成26年開設等)の審査に間に合わないからだ。これは予想通りである。
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〈1〉も〈2〉も、これまででもあるのではないか。これらのことは文書化されて提出されているような気もするのだが、「説明」を文書ではなく、直接求めるということか。
「自治体」は、誘致自治体のことなのか、それとも単に開設予定の位置(住所)の都道府県・市町村なのか。有形無形色々あるが、誘致活動をした自治体ということなのだろうか。そうでなければ、意見を求められても困るだろう。5日に文科省のウェブサイトを見てみたが、報告書がまだアップされていなかった。しばらく待つことにした。
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2月5日付で報告が文科省のウェブサイトにアップされた。レイアウトがやや異なるが、以下テキスト全文である。気になることを赤字で書き込んでみた。
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大学設置認可の在り方の見直しに関する検討会(報告)
平成25年2月4日
大学設置認可の在り方の見直しに関する検討会
「大学設置認可の在り方の見直しに関する検討会」(座長:浦野光人株式会社ニチレイ代表取締役会長)において、報告が取りまとめられましたので、公表いたします。
大学設置認可の見直しの方向性について
大学は、知の拠点として、社会の変革を担う人材の育成と、世界的な研究成果やイノベーションの創出などにより、社会の発展を推進する重要な役割を担っている。同時に、地域社会の求める人材の育成や産学連携等を通じた地域貢献に積極的に取り組むことも大学の重要な役割として期待されている。
大学に期待される役割が多様化する中で、大学がその期待に十分に応えていけるようにするためには、大局的視点に立った大学の在り方に関する議論が重要であるとともに、大学の質を保証する全体的な仕組みの確立が重要であり、その重要な一翼を担う設置認可の在り方についても、社会の変化に対応した一定の見直しが求められている。
本検討会は、昨年11月の設置以来、文部科学大臣の要請を受け、大学の質の向上を図るため、大学設置認可の在り方を中心に幅広い視点から検討を行い、大学設置認可の見直しの方向性について、以下のとおり整理した。
文部科学省において、本検討会での検討の成果を制度・運用の見直しに活かし、社会の期待に応える大学づくりに向けて取り組まれることを要望する。
1.運用の改善などにより早期の実施が期待される事項
以下に示す具体的な見直しについては、運用の改善や基準の明確化などにより速やかな対応が可能と考えられ、早期の実施が期待される。
(1)学生確保等に係る審査基準の明確化
大学として社会の要請に応え、安定的、継続的な運営が確保できるよう、学生確保の見通しや社会的人材需要等を十分に考慮することを審査基準上明確化する。
『社会的人材需要等』というと、何だかわかりやすいようだが、それだけでいいのだろうか。大学は、すでにあるものだけではなく、新たな人材需要の元になるような研究、教育実践の場でもある。わかったことだけをベースに学生確保を考えるだけでは、ホントにいい大学にはならないのでは。
(2)審査の充実
(大学新設に係るもの)
1 全体構想審査の実施
設置構想全体が社会的ニーズ等を反映し、現実性が十分に認められるものであることを確認できるよう、大学新設の際には、教育課程や教員等の内容の審査に入る前に、理事長(予定者)及び学長予定者を直接面接し、設置の理念を含む設置構想全体について説明を求める機会を設ける。
書類ではなく、責任者にプレゼンをさせるということだろう。
大学と地域との関係は重要であるため、大学新設の場合について、自治体として大学に期待することや地域にとっての意義、大学との連携への意識等を確認する。特にキャンパスの誘致等があった場合については、大学に対する支援内容等を重点的に確認する。
『キャンパスの誘致等があった場合』には『支援内容などを重点的に確認』とある。これは『出資者・利害関係者』として、当然だと思う。でも、この書き方だと、誘致された新設大学だけではなく、大学が位置する自治体に意見聴取をするようだ。その場に存在するだけで、『利害関係者』または、それに準ずるものとして発言する。そんな権利があるのだろうか。発言には責任も伴うけど。
(認可を要するすべての申請に係るもの)
2 学生確保の見通し等の審査体制の充実
学生確保の見通しや社会的人材需要等が現実的なものであるか等を十分に確認するため、地域社会の人材需要等に詳しい者を専門委員等に加えるなどの審査体制の充実を図る。
専門委員の分科会を追加する。これはすぐできそうなことだ。
3 リスクシナリオの確認
学生が計画通りに確保できなかった場合でも安定的な大学運営が求められることから、対応方針(企業等でいう、いわゆる「リスクシナリオ」)について審査の過程で確認する。
学生が計画通りに確保できないと、わかりきったことだが大学の存立が危うくなる。大学が閉鎖になる場合、それが公になると様々な影響が当該大学だけではなく、大学というシステムそのもに影響を及ぼす。
卒業生にとって、出身大学の閉鎖は在籍・卒業記録の引き継ぎという実務的な問題・不安の元になる。在学生にとっては、学生募集が止まれば、年度ごとに授業のない教学スタッフの減少、様々な学生サービスの低下につながる。転学を考えるにしても、学習の証明の問題、転学受け入れ可能な学問系列の近い学部学科の調査など、学生が単独で可能な範囲を超えていることもあり得る。創造学園大学閉鎖の例もある。
金融機関ならば統廃合があっても、基本的には問題はない。一定額までは預金も保証される。でも、大学教育というサービスを受ける学生は、そのサービスを供給する大学を、そんなに簡単に変えられない。義務教育学校での転校とは違う。
2.速やかな具体化に向けた検討が期待される事項
以下に示す見直しについては、さらに具体的内容の検討が必要であり、また、実施に際して一定の準備期間を設けることが適当なものも含まれているため、中央教育審議会や大学設置・学校法人審議会において具体化に向けた検討に速やかに着手することが期待される。
(2)設置基準等の明確化
基準の解釈を明確にし、運用の透明性を高めるため、平成15年の準則化の際に廃止された細則的基準のうち、その後の社会変化等に照らし必要なものを規定し直すなど、抽象的基準を明確化し、基準の一覧性をさらに高める。簡単に言うと、基準が増えることになる。
(2)学校法人のガバナンスの確保
公共性の高い学校法人の適正な管理運営を確保するため、適切なガバナンス(内部統制やコンプライアンス等(設置認可後を含む))の確保や財務情報の公開について、審査基準において明確化する。
財務情報の公開は、現在でも実施している学校があると思う。これを改めて実施というと言うことは、現在存在する学校でちゃんと実行していない学校があるということだろう。
(3)審査スケジュールの見直し
より充実した審査を行うために審査期間を延長するとともに、認可後に余裕をもって学生募集が行えるよう、認可時期の早期化を検討する。
現在は大学新設の場合、開設予定年度の前年度が審査である。その審査を受けるため、前々年度末に申請する。でも、実質的には1年間。設置認可が出るのは、既設学校の推薦入試・AO入試が一段落した11月中旬ころ以降だから、これを早めるには、半年以上前倒しにしなければダメだろう。既存大学は競争相手が増えることになるが、新規参入者にとってはいいことかもしれない。
(4)申請書類の作成方法の明確化
審査に必要な情報を的確に入手できるようにし、かつ、申請者側、審査側双方の事務負担を軽減するため、財産目録等の申請書類について、作成方法の詳細なルール化やマニュアル化を一層図る。
(5)設置に必要な財産確保の徹底
設置計画に係る財務計画の妥当性を十分確認することが重要であるため、寄附金等に係る提出書類の充実などにより、実態を伴った寄附であるかどうかを厳格にチェックする。同時に、虚偽申請や認可後の不適正な状況があった場合等のペナルティを強化する。
過去数例、あるはずのお金が無いのに審査を受け、開設認可を得ているケースがある。どうやって正確に調べるか。どこまで財務調査を厳しくできるのか。
3.大学の質の向上のため、設置認可の見直しと併せて継続的に改善、充実を図っていくべき事項
以上の見直しに加え、大学の質の向上のため、以下のような事項についても設置認可の見直しと併せて継続的に改善・充実を図っていくべきであると考えられる。
(1)認可後の事後チェック機能の強化を含む、質保証のトータルシステムの確立
(2)大学の閉鎖等の場合の学生保護の仕組みなど、退出の制度設計
(3)学生や保護者の立場に立った情報公開の一層の促進
やっぱり(2)をどうするか。この「大学設置認可の在り方の見直しに関する検討会」は、設置認可の見直しが本務ではあるが、あえて「併せて継続的に改善・充実を図っていくべき」としている。大学はつぶれるのが前提として、(2)の学生保護の仕方をどうすべきか。
審議経過
第1回 平成24年11月21日(水)
第2回 平成24年12月6日(木)
第3回 平成24年12月21日(金)
第4回 平成25年1月21日(月)
大学設置認可の在り方の見直しに関する検討会委員
◎座長 〇副座長
相川 順子 一般社団法人全国高等学校PTA連合会会長、青森県高等学校PTA連合会会長
今村 久美 特定非営利活動法人NPOカタリバ代表理事
◎浦野 光人 株式会社ニチレイ代表取締役会長、公益財団法人産業教育振興中央会理事長
及川 良一 東京都立三田高等学校長、全国高等学校長協会会長
尾 正直 高知県知事
北山 禎介 株式会社三井住友銀行取締役会長、公益社団法人経済同友会副代表幹事・教育問題委員会委員長
〇黒田 壽二 金沢工業大学学園長・総長
佐藤 東洋士 学校法人桜美林学園理事長・総長、大学設置・学校法人審議会会長
佐野 慶子 公認会計士、日本公認会計士協会常務理事
清家 篤 慶應義塾塾長、全私学連合代表
寺島 実郎 一般財団法人日本総合研究所理事長、多摩大学学長
濱田 純一 東京大学総長、一般社団法人国立大学協会会長
林 文子 横浜市長
計 13名
お問い合わせ先
高等教育局高等教育企画課
電話番号:03-xxxx-xxxx(直通)
(高等教育局高等教育企画課)
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いろいろ書いてみたが、どうだろうか。