30代を過ぎてから新しい英単語が覚えられなくなった。
タイミングの悪いことに、私は英会話を習い始めたのが28歳の時だったため、習い始めると同時に単語を覚えられにくくなってしまうという脳的負の現象が発生した。
その結果として、いつまでたっても会話能力が向上せず、現在に至っている。
そして年齢を重ねることによる弊害は、驚いたことに単語を覚えられないだけにとどまらない。
昔覚えていた筈の単語まで忘れていってしまうのだ。
「これはきっと年と共に脳細胞が死んでいっているからに違いない」
と私は確信した。
たぶん単語を記録している部分の細胞が死滅してしまったために単語力を忘れるのだ。
そして総脳細胞数が減少していることそのものが英単語の記憶力の低下に繋がっているのだ。
と、私は自分の脳細胞の責任にしたのだった。
どうやら、その理屈は間違いだったようだ。
講談社ブルーバックス「記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶の仕組みと鍛え方」を読むと、人の記憶能力はアルツハイマーなどの病気にでもならない限り衰えることは無いらしい。
もちろん若年の時代と壮年の時代、老年の時代では脳細胞の使われ方が違うようで、記憶の効率性はあるようだが「30歳を過ぎたから」という理由で英単語を覚えにくいのは単なる私の言い訳にすぎないこともわかった。
うすうす感じていたことなのだが、要は「ものぐさで勉強していなかっただけ」ということなのだ。
ところで、脳のメカニズムはどうなってんだろう?
と、時々考えることがある。
とりわけ人の名前を思い出せなかったり、英単語を覚えられなかったり、都合の悪いことを忘れられなかったりした時には、その疑問はかなり大きなものになる。
脳のメカってパソコンと同じ?
という疑問が一番最初に生まれるのだが、だったら人間のOSはいったい何?ということにもなり、なかなか難しい。
ウィンドウズな人とMacな人の対比をしたMacのコマーシャルがあるけれども、人はそれほど単純ではないしアバウトでもある。
なかなか素人にも分かりやすく書いている脳の仕組みについての書籍に出会うことはなかったが、本書は素人でもわかりやすく楽しめる一冊だった。
海馬のメカ、一度に覚えられる数の限界、脳の記憶と情報伝達を司る物質、などなど。
まだまだほとんどが謎だらけの脳。
肝心の「私という意識はどこに住んでるの?」という私の疑問には答えていなかったが、素人ながらのいくつかの疑問を氷解することができたのであった。
~「「記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶の仕組みと鍛え方」池谷裕二著 講談社刊~
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